中学入試プレイバック2019 「早稲田実業学校中等部」

最近の入試でよく出題される、明快な正解のない対立する2つの考えのうち、どちらを賛成するか自分で決めて記述する問題です。この問題では「税金は高いけど保障が厚い」大きい政府と、「税金は安いけど自己責任」の小さい政府のどちらが良いかを考える問題になっています。

一見すると、どちらで答えても同じように見えます。しかし、出題者が想定している答えは明らかにAです。それは、この問題のリード文を見ればわかります。この問題では、国際連合の機関が出している「世界幸福度調査」が題材に選ばれています。このランキングの上位はフィンランド・ノルウェー・デンマークといった北欧諸国です(なお、日本は53位)。これらの国はいずれも税率は高いが社会保障が充実している「大きい政府」の国です。このデータを引用したうえで、意見を聞くということは出題者としては大きい政府に肯定的な意見を聞きたいと判断できます。

そのうえでポイントになるのが「マイナス面をふまえながら」の部分です。明快な正解がないということは絶対的に優れているものはなく、何かしらの欠点を持っています。ただし、求められている答えは「望むのはどちらかとその理由」です。マイナスの話をしすぎると問題の趣旨からずれるので、注意が必要です。できれば、マイナス面に触れつつ、それを打ち消せれるようなプラスの理由を入れられればベストです。それを踏まえた答えは次の通りです。

答:
A 教育費が無料ということは家庭環境にかかわらず同じ教育を受けることが可能で、貧富の差が広がりにくいと思うからです。税金が高いため手元に残るお金が少なくなりますが、生活への保障が充実していれば将来のための貯蓄に回す必要性が減り消費活動が活発になると思います。また、出産や育児がしやすいということは少子化対策にもつながると思います。

B 自分の手元に多くの資金があるので、好きなものを買うことができ、また資金を生かして事業を起こしたり拡大させたりすることができるので経済が発展すると思うからです。病気やけがによって仕事ができなくなると生活の保障がなくなりますが、国民が国に頼らず自分自身が必要なものを準備していくことができるようになると思います。

下線が引いてある部分がそれぞれのマイナス面です。下線部の後にそれぞれフォローする内容をいれましたが、Bのほうがフォローが苦しいことが分かりますでしょうか。小さい政府は言ってしまえば自己責任の世界です。「あらかじめ貯蓄をしておけばいい」という答えもありますが、それも「そもそも貯蓄する余裕がない場合はどうすればいいんだ」と返されると苦しい。「マイナス面を触れながら」という問題設定があることで大きい政府の方が論述難易度がたくみにあげられ、有利な答えが誘導されている問題と言えるでしょう。

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