「世界遺産のない都道府県は?」はもう入試に出ない

中学・高校入試において、都道府県をテーマにした問題は毎年多く出題されています。都道府県にはそれぞれ特徴があります。「面積が広い・狭い」「人口が多い・少ない」「海に面している・いない」といったものがまず基本的なテーマといえるでしょう。

 次の表のA~Dは奈良県・京都府・大阪府・三重県のいずれかです。京都府にあてはまるものを選び、記号で答えなさい。(数値は2014年)

面積
(㎢)
人口
(万人)
工業生産額
(百億円)
海面漁業漁獲高
(百トン)
5774 183 1044 224
1905 884 1622 186
3691 138 186
4612 261 462 107

この問題の場合どこから考えるかというとまずはBです。人口が一番多く面積の一番少ないので、これが大阪府になります。そして、注目はCです。Cの海面漁業漁獲高は「-」になっています。これは、海面漁業が全く行われていない=海がないということです。問題の4府県のなかで海がないのは奈良県なので、奈良県がCになります。そして、政令指定都市である京都市がある京都府が人口の多いDになり、四日市市など工業都市を多くもつ三重県がAになります。
 D

本都道府県を見分ける問題は他にもいろいろあり、マイナーなものでいうと「温泉」「スキー場」といった施設の多い少ないを使った問題もありました。

ここで、タイトルの内容になるのですが、以前は「世界遺産のある都道府県とない都道府県」という知識をつかった問題が出題されていました。若干単純化していますが、こんな問題です。

 次のア~エのうち、世界遺産のない都道府県を選びなさい。
ア.奈良県  イ.京都府  ウ.大阪府  エ.三重県

奈良と京都に世界遺産があることは、ほぼ常識でしょう。残りは三重と大阪ですが、三重県は和歌山・奈良にまたがる形で「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されているので、残った大阪が「世界遺産のない都道府県」ということになります。
答 

それでは、これではどうでしょう。

 次のア~エのうち、世界遺産のない都道府県を選びなさい。
ア.宮崎県  イ.佐賀県  ウ.福岡県  エ.鹿児島県

エは自然遺産である屋久島があるのですぐわかります。2015年に「明治日本の産業革命遺跡」として八幡製鉄所が世界遺産に登録されたので、ウの福岡県も当てはまります。問題は残り2つです。普通分かりません。実は、「明治日本の産業革命遺跡」は福岡県のほかに佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県の8つの県にまたがって登録されています。佐賀県は「三重津海軍所跡」という場所が登録されているんです……って地元の人でなければ知らないですよね。
 ア

「明治日本の産業革命遺跡」の登録されている遺跡は当然ながら重要な遺跡ばかりです。しかし、中高受験社会としてみたときにつながりが弱いんですよね。たとえば、先ほど出てきた「紀伊山地の霊場と参詣道」は三重・奈良・和歌山の3県にまたがっていますが、この3つの県は隣り合っています。隣り合っているということは関連付けて覚えることができます。「明治日本の産業革命遺跡」の場合はこの関連付けが難しいんですね。難しいというより不要といっていいでしょう。社会科は暗記科目ですが、クイズではありません。

つまり、「世界遺産がない都道府県を問うだけの問題は重箱の隅をつつく悪問」になってしまったということです。1つの出来事が入試問題の傾向に影響を与える例として紹介しました。

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