どの科目を教えるのが楽なのか問題

私は、塾講師としての専門は言うまでもありませんが、社会科です。ただ、講師の配置の関係やコマ数の問題で算数・数学や国語といった科目も指導することがあります。実は、指導しただけなら理科・英語も担当したことがあります。今日は社会科教師の立場から見た、「塾講師からみてどの担当科目が楽か」という話をしたいと思います。

プリントを配る先生まずは社会科から。私の社会科指導の根本としてあることとして「社会科で合格する生徒はいないが不合格になる生徒はいる」というものがあります。受験において、社会科はメイン科目ではありません。受験生の点数分布を見ても、それほど社会科で点数差がついたというもの見られません。だから、社会科の教師というのはこの科目の出来で受験が決まるというようなメイン科目のプレッシャーからはちょっと外れるんですよね。その代わり、社会の暗記で時間をかけさせるような教師は愚の骨頂で、ある程度の負担でそこそこきちっと点数を取らせる能力が重要なんです。
社会科のしんどいところは年度ごとに指導する内容が微妙に変わっていくことでしょう。どの科目も受験の流行や生徒の学習状況に応じて教える内容を微調整するものです。しかし、社会科というものは毎年時事問題という形で新しいことを指導しなくてはいけませんし、中学受験ではこれまで出題されなかったことが当たり前のように出題されます。それを楽しいと思えないようでは社会科教師はやれません。

社会科と逆なのが、数学(算数)ですね。生徒からくる質問が一番多いのが数学(算数)ですし、中学受験で一番点数差がでるのが算数です。塾において指導時間が一番取られているのも当然です。算数は受験において花形科目といえるでしょう。
一言でいえば、数学は「わかりやすい科目」なんですよね。何がわかりやすいかというと「授業を聞いてできるようになったと生徒が実感できるか」という点です。問題演習の解説で解法を説明されて、それが理解できたかできなかったかが明確に出ます。だから、良くも悪くも「この先生はわかりやすい、わかりにくい」という評判がはっきりしますね。あと、質問が多いというのは生徒との接点も増えるので、生徒からの評判が得やすいです。「塾講師としての勝ち負けがはっきり出る科目」なのが数学(算数)です

英語は文系のイメージが強い科目ですが、中学校レベルで指導するうえでは文法のルールがはっきりしていてその公式に文字を当てはめていくイメージとして数学に近い科目です。私のように、もともと英語ではない担当が英語をするうえでしんどいのは英語の発音です。発音が大丈夫ならば、授業をするうえでの見栄えは相当違います。
英語を指導するうえで重要なのは、生徒の細かいミスをどれだけ普段からチェックできるかです。三人称単数のsの付け忘れ、時制の一致といった定期テストの英語で結局差がついていくのはその部分をきっちりできているかです。

理科は化学・物理分野を中心に計算問題も出題される科目ですが、暗記要素も強くバランスが必要です。個人的な見解としては地学がやっかいですね。高校で地学を履修している人は少数なため、まず指導する側にとって地学が縁遠いものになっています。そして、授業において再現が難しい。天体の話を黒板などの板書で説明し、理解させることは簡単ではありません。映像を使えばもう少し楽なのでしょうが、生徒がテスト中に映像を見ながら確認できるわけではないという問題が付きまといます。
ただし、中学生の定期テストで指導するのが塾側が対策をしやすいのは理科です。塾講師からみて定期テスト対策が難しいのは、学校の先生が独自の判断で問題を作成するためです。理科は実験の様子など図表を使った問題が多く、他の科目に比べて学校の先生のクセが入りにくい科目です。

授業で学習した内容が、ほぼ絶対にそのまま出題されることのない科目が国語です。なにしろ、授業で扱う文章とテストで出題される文章が異なります。算数なら全く同じ問題で数字が違うだけの類題というのがありますが、国語に類題はありません。塾講師をするような人であれば、国語の入試問題はある程度解くことができます。しかし、それを生徒にどのように落とし込むかが難しいのが国語といえるでしょう。また、取り上げられる文章が自然科学・社会科学・物語・随筆と多岐にわたっており、いろいろな知識のバックグラウンドが求められるのも国語です。

ありきたりの結論ではありますが、指導が楽な科目はないですね。やっぱりどの科目にもそれぞれの難しさがあります。でも、改めて思うと国語は難しいですね。なぜなら、国語の学力は他の科目にも波及するからです。社会が伸び悩む生徒って結局国語ができないことが多いんですよ。よく文系・理系という二極論がありますが、実際の勉強でははっきり二分できるものではないです。学力というのはつまるところ論理的な思考ができるかどうかです。算数ほど明確に答えのないなかで、論理的な思考を身につけさせなくてはいけない国語が一番難しいというのが今日の結論です。



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