着工建築物数を見ながらデータの読み取りをする

最近の公立高校入試では必ずと言っていいほど統計資料などを使ってデータを読み取る問題が出題されます。これは、たくさんあるデータから、何が分かるかを知ることが重要な現代社会を踏まえた教育が行われているからです。
今回は「着工建築物数」というデータを見ながら、データの見方の話をしたいと思います。

この着工建築物数でわかることは、一言でいうとどれだけ建物がつくられているかということです。ちなみにこのデータをさらに分析すれば、どういう種類の建物が建てられているかやその大きさの区分なども分かりますが、今回は関係ありませんので、割愛します。

まず、グラフの①の期間を見ると、上下はあるものの全体として、着工建築件数は減少傾向にあることがわかります。グラフ上のピーク時に150万件程度だったのが、現在は60万件程度になっています。つまり、半減以下となっているわけです。
ここで、”グラフ上のピーク時”という言い方をしました。こういったグラフの問題のひっかけで「グラフからは高度経済成長期と比べると着工件数が減少傾向にある」といったものがあります。高度経済成長が終了したのは石油危機のあった1973年です。1975年にはじまるこのグラフでは高度経済成長期の着工件数が分かりませんので、比較のしようがないのです。

最近の推移に目を向けると②でやや大きなくぼみが見えます。これは、2008年です。前年に発生した世界金融危機の影響ですね。そして、③で大きく増加してますが、これは2012年です。おそらく、2011年におきた東日本大震災で破壊された建物の復興事業の影響ではないかと予測できます。

こういう時に、サブのデータとして推測を補強する他の資料が用意されていることがあります。

同じ着工建築物数の宮城県のデータです。2011年以降大きく着工建築物数が増えていることが分かります。全国と比較してみたときに、震災以降の増え方の幅が大きいですね。

同じ東北でも福島県と比べるとまた違いがあります。福島県は宮城県と比べて2011年、つまり震災当年の建築件数が増えていません。これは、福島第一原発事故の影響と予測されます。逆に、2012年に増えてから毎年同程度の建築数があります。これは、被災地への帰還事業が現在進められていることと無縁ではないと思われます。

データを読み取る問題はどうしても「見ればわかる」と考えてしまいがちですが、今の内容でも石油危機、世界金融恐慌、東日本大震災がいつおきたかが分かったうえで、それを知識だけではなく活用することが求められます。それが現在の社会科の問題です。