「 2017年07月 」一覧

中学入試プレイバック2017 「フェリス女学院中」

問 宮城県の海産物で、2014年に広島県に次いで生産量が全国2位のものはなんですか。(2017年フェリス女学院中)

かきフェリスを受験する生徒の大半にとって楽勝の問題です。答えは「かき」なんですが、この問題で紹介したいポイントは、宮城が2位に返ってきたことです。かきの養殖ランキングといえば、ずっと1位広島、2位宮城でした。しかし、2011年の東日本大震災で宮城をはじめとした東北地方太平洋岸の漁業は大きなダメージを受けました。他の学校の入試では、2011年より前のデータとそれ以降で比較し、生産量が落ち込んだ理由を説明させる問題も出題されています。
震災直後は回復は困難ともいわれていましたが、少しずつ回復し2014年に2位の座に返り咲きました。とはいえ、現在の生産量は約2万トンと震災前の約半分で復興途上であるといえるでしょう。

答 かき


入試に出る歴史上の人物 「明智光秀」

重要
1582年本能寺の変で主君だった織田信長を暗殺したのが明智光秀です。明智光秀

いろいろ謎の多い本能寺の変ですが、社会科的には上の一文だけ覚えておけばOKです。明智光秀を豊臣秀吉が破った山崎の戦いは、入試で書かせることはほとんどないですね。

読み:あけちみつひで
時代:安土桃山時代(16世紀後半)


入試に出る歴史上の人物 「武田勝頼」

標準
1575年長篠の戦い織田信長に敗れたのが武田勝頼です。なお、武田勝頼の名前を憶えておき武田神社たいのは中学入試のみです。高校入試は長篠の戦いで敗れたのは武田氏とだけ覚えておけばいいでしょう。

武田勝頼の父親は「風林火山」で有名な甲斐(山梨県)の戦国大名、武田信玄です。昔は、武田氏を滅ぼした無能な後継者扱いをされることが多かった勝頼ですが、NHK大河ドラマ「真田丸」に代表されるように、再評価が進んでいる人物です。

読み:たけだかつより
時代:室町・戦国時代末期(16世紀後半)


中学入試プレイバック2017 「豊島岡女子学園中」

問 次の空らんにあてはまる語句を漢字2字で書きなさい。
江戸時代の人々が直接感じていた時代の変化に、自然災害や疫病があります。江戸時代には、宝永期の(  )山や天明期の浅間山など、噴火が続いて江戸にも火山灰が降り、多くの人々を苦しめました。
(2017年豊島岡女子学園中)

答えだけ見ると「富士山」という簡単な問題ですが、中学入試で富士山の「宝永の大噴火」と富士山いうことばは学習しないんですよね。難しいというより開き直って「江戸に火山灰が降るんだから、江戸の西(偏西風により火山灰は火山の東に降る)にある火山だろうから富士山」と考えることができれば正解できる問題です。

宝永の大噴火は1707年におきた噴火で、最も最近に起きた富士山の噴火です。人間による記録が残っている噴火でも最大規模の噴火で近隣地域に大きな被害を残しました。現在、富士山周辺の自治体では噴火活動で予測される災害を地図上に記録するハザードマップを発行するなど、災害に備えています。

全然問題と関係ない話ですが、今年の豊島岡女子学園中の入試問題は一部カラーなんですね。最近少しずつカラー印刷の入試問題が出始めています。これまでは、入試問題は白黒という前提で指導をしてきたのですが、少しずつ変えていかないといけないですね。小学6年生にとっては白黒だと思っていた答案が急にカラーになっていただけで焦りますから。
ちなみに、カラー印刷で問題がつくりやすいなと思うテーマは国旗です。フランスなどの三色国旗とかもカラー印刷なら出しやすそうです。

答 富士


入試に出る歴史上の人物 「足利義昭」

重要京都五重塔
室町幕府最後の将軍が足利義昭です。当初は織田信長と協力関係にあり、室町幕府の立て直しに動きました。しかし、信長と対立、1573年京都を追われ室町幕府は滅亡します。

信長を利用して幕府勢力の回復を図ったり、信長と対立したら周辺の大名を味方につけ信長追放を図ったりとイメージよりはるかに有能な人物なんですよね。損な役回りです。実は征夷大将軍は1588年まで役に就いている(信長が死んだ後も)ですが、社会科としては無視していい内容です。

読み:あしかがよしあき
時代:室町時代末期(16世紀後半)


中学入試プレイバック2017 「雙葉中」

問 参勤交代は大名の力を弱めるために行われました。なぜ大名の力を弱めることになるのか、理由を書きなさい。(2017年雙葉中)

結論から言うと、この問題は表現が的確ではありません。というよりも、ちょっと古い常識でつくった問題と街道いったほうが正しいでしょうか。

昔は、参勤交代は大名が江戸屋敷をつくったり、江戸まで参勤したりする費用を大名にかけさせることで、その弱体化を狙っていたといわれていました。しかし、現在では、あくまでその効果はおまけというか結果としてそうなったというべきで、最大の狙いは大名たちが将軍に挨拶をしに来ることによって、幕府に従っていることを周りにアピールするためだったというのが、近年の有力な説です。最近の学説が反映されていない問題というわけです。

入試問題というのは、一人ではないにしろ数名でつくるのがほとんどのはずです。そうすると、問題内容が古いことや、説明不足な部分がおきることがあるので、そこを補足説明するのも塾の入試問題の解説授業ですね。

答 大名を江戸まで来させることで将軍と大名の上下関係を決定づけさせるとともに、参勤交代には多額の費用がかかるため。


中学入試プレイバック2017 「女子学院中」

問 社会科で、ある事がらを書物で調べる場合、まず、その書物のどのようなことを確認することが重要ですか。2つ記号で答えなさい。

ア 価格はいくらか  イ 出版年はいつか  ウ ページ数はどれくらいかエ 著者はどんな人か
(2017年女子学院中)

中学校の社会科学習指導要領には、こう書かれています。
「身近な地域における諸事象を取り上げ,観察や調査などの活動を行い,生徒が生活している土地に対する理解と関心を深めて地域の課題を見いだし,地域社会の形成に参画しその発展に努力しようとする態度を養うとともに,市町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法,地理的なまとめ方や発表の方法の基礎を身に付けさせる」

近年の入試では、ただの暗記事項だけではなく資料から答えを判断する問題、またその資料そのもののあたり方を答えさせる問題が出題されています。今回紹介する問題ももその1つといえるでしょう。本

この問題を答えるポイントは「社会科で」ということばです。買いものをする上で値段は重要な情報ですが、情報の正確さを考えるうえではほとんど関係がありません。ページ数も同様です。

私は、本を買うとき必ず著者の説明は読みます。それまでにどのような著作を書いてきたかをみるためです。特に、政治性の高いテーマの場合、著者がもともともっている考え方で同じテーマでも書くスタンスが全く変わってしまいます。そういったテーマの場合、著者のスタンスをふまえたうえで文章を読むことが重要なのです。

特に図書館で本をみる場合、出版年は重要な要素です。本屋の場合、古い本はそれほどおかれていません。本屋にある古い本の場合、むしろその分野のスタンダードな売れ続けている重要な書籍と考えたほうがいいでしょう。しかし、図書館の場合はどうしても古い書籍が普通におかれている場合があります(特に市町村レベルの図書館ではそうです)。たとえば、2011年以前とそれ以降で原子力発電に関する常識は全く違うものになりました。このように、データが古いためそのままでは誤った理解をしてしまう危険があるのです。「いつ出版された書籍」なのかというのは重要なことなのです。

答 イ・エ


中学入試プレイバック2017 「桜蔭中」

問 青森県にある縄文時代最大の遺跡について説明した文として誤りを含むものを次の あ~え から1つ選び、記号で答えなさい。

あ 出土した花粉などから、クリの栽培が行われていたと考えられている。
い 竪穴住居や高床倉庫などが建てられ、10メートルをこえる高い建物もあったと考えられている。
う この遺跡は水を得やすい湿地にあり、木のくわ・すきを使用していたと考えられている。
え 土偶がたくさん見つかっていることから、豊かな恵みを願ったのではないかと考えられている。
(2017年桜蔭中)

この問題に出てくる「青森県にある縄文時代最大の遺跡」とは三内丸山遺跡のことです。三内丸山遺跡は高さが約15mもある大型の建造物があったことがわかった縄文時代を代表する遺跡であり、それまでの縄文時代のイメージを覆した遺跡の1つとされます。三内丸山遺跡

三内丸山遺跡は入試でも基本知識の1つで、「縄文時代・青森・三内丸山遺跡」の3つセットで覚えておく必要があります。今回はそこからやや突っ込んだ内容を問う問題を取り上げました。もっとも、この問題は簡単で「い」の高床倉庫が誤りです。高床倉庫は弥生時代につくられた稲を保存する倉庫なので、縄文時代の三内丸山遺跡にあるものとしては適しません。

今回触れたいのは、入試問題を解くときの勉強の仕方についてです。ここで「い」が誤りであることを勉強しました。同時にそれは、「あ」「う」「え」は三内丸山遺跡を説明する内容であるということです。採点をしているときに、そのことを意識して「これは正しい内容である」と確認をしながら、丸付け・解説の確認をできるかどうかが成績アップに重要です。ただ、入試問題を解くだけでなく、それをしながら知識の確認徹底をする姿勢が重要なのです。

答 い


中学入試プレイバック2017 「筑波大学附属中」

問 発表会の展示内容を考えていたゆうさんは都道府県名に地形や土地のようすなどを意味する漢字が多く使われていることに気づき、まとめました。しかし、間違えて47都道府県名に使われいない文字を2つ選んでしまいました。その2文字を下の語群から選び,書き出しなさい。

<語群>木 山 岩 石 森 沢 岡 野 川 田 崎 沖 島 潟 海 浜

(2017年筑波大学附属中・問題形式を変更)

まぁ、中学受験生であれば落ち着いて考えれば誰でもできる問題です。
木→栃木、山→山梨、岩→岩手、石→石川、森→青森、沢→×、岡→岡山、野→長野、川→神奈川、田→秋田、崎→宮崎、沖→沖縄、島→島根、潟→新潟、海→北海道、浜→×
と、1つ1つ考えればいいわけです。なのですが…。ストップウオッチ

この連載では、基本的に学校ごとの入試傾向にはそれほど触れない方針で記事を書いています。しかし、筑波大学附属中については1つ触れなくてはいけないことがあります。それは、社会の試験時間が算数と合同で50分だということです。その時間の大半は算数に回されるはずですから、社会は相当短い時間で解かなくてはいけません。

この問題は社会全体の2問目に登場します。この問題で「あれ、どれだっけ?」と時間を取られてしまったら、この後出てくる資料を読み取る問題を解く時間が無くなってしまいます。時間をかければ誰でも解けると受験生が分かる問題であるからこそ、迷ったときに焦って足をすくわれそうな問題です。普段なら何気なくできる問題も、極度の緊張状態にある入試本番では違って見えてしまうことはよくあることです。そういった事態を避けるため、時間を計って過去問題の演習を繰り返すことが重要なわけです。

ちなみに、沢→金沢、浜→横浜と県庁所在地で使われている漢字ですね。地味にまぎらわしい漢字を2つ選んでいると思います。

答 沢・浜


中学入試プレイバック2017 「青山学院中等部」

問 関東大震災のあと東京市長としてその復興と都市計画に取り組んだ人物名を次の①~④から選び、数字で答えなさい。(2017年青山学院中等部・出題形式を改題)

① 渋沢栄一  ② 後藤新平  ③ 植木枝盛  ④ 木戸孝允

入試で出題される内容や教科書に掲載される内容にも流行りというものがあります。最近の流復興行の例として、平安時代に蝦夷のリーダーとして坂上田村麻呂と争ったアテルイがいます。最近の中学校教科書はアイヌや琉球といった日本の中央政権から離れた存在にも目を向ける意識が強いです。その流れで、昔ならややマニアックな知識だったアテルイなども教科書で当然のように触れられ、入試でも出題されます。

近代で最近みかけるようになった人物の一人がこの問題の答えである後藤新平です。中学校の教科書によってはコラムで登場するようになりました。後藤新平は1923年9月1日におきた関東大震災の直後に内務大臣・帝都復興院総裁として復興のための基本方針を提示し、焼けた土地を買い上げ広い道路や公園をつくって火災に強い都市づくりを目指した人物です。

後藤新平が最近取り上げられる理由の一つはおそらく東日本大震災でしょう。震災からの復興を目指す現在、その計画の全てがうまくいったとはいえないながらも、災害復興の都市計画のモデルをつくった人物として後藤新平が重要視されるだと思います。

ちなみに、後藤新平は日本ボーイスカウト連盟の初代総裁でもあり、その普及に貢献した人物の一人です。

答 ②