「 2018年07月 」一覧

入試に出る歴史上の人物 「長屋王」

発展
聖武天皇の即位後、反乱を企てたという罪を着せられて自殺させられたのが、長屋王です。

正直なところ、中高入試ではギリギリでないレベルの人物です。長屋王が政治の中心にあった723年に定められたのが、新しく開墾した土地を三代にわたって私有を認める三世一身の法です。ただし、長屋王と絡めて出題されることはありません。

読み:ながやおう
時代:奈良時代(8世紀前半)


入試に出る歴史上の人物 「尾崎行雄」

重要
1912年に成立した(第3次)桂太郎内閣を藩閥政治と批判し、憲法に基づく政治を求めた第1次護憲運動がおこりました。その中心として活動した人物の1人が尾崎行雄です。62年にわたり衆議院議員として活動したことから「憲政の神様」とよばれます。

中学入試では護憲運動を第1次、第2次と分類することはあまりありません。なお、62年8か月という国会議員の在職期間は現在も最長記録です。

読み:おざきゆきお
時代:大正時代(20世紀前半)


入試に出る歴史上の人物 「美濃部達吉」

標準
主権は国家にあり、天皇は国の機関として憲法に従って国を治めるという天皇機関説を主張したのが美濃部達吉です。

昭和に入ると軍国主義が強まり、天皇機関説が天皇に対して失礼であるという天皇機関説事件が起きてます。中高入試では天皇機関説事件は、ほとんど触れられません。

読み:みのべたつきち
時代:大正時代(20世紀前半)


入試に出る歴史上の人物 「孫文」

重要
1911年に三民主義(民族、民権、民生)を唱え、辛亥革命を起こした人物が孫文です。1912年に中華民国を建国しました。実権を袁世凱に奪われた孫文は中国国民党をつくり革命運動をつづけました。

なお、中学入試では袁世凱や三民主義は出題されません。

読み:そんぶん
時代:20世紀前半(明治末から大正時代)


「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」から何が入試に出題されるか?


最近、毎年のように追加されるので少しありがたみが薄れているような気がする世界文化遺産ですが、今年は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が追加されました。
ありがたみが薄れたとはいえ、入試問題で世界遺産は重要なテーマの1つです。新しく追加された世界遺産は何かと問題で出題されるので、注目ポイントを見ておきましょう。

まず、世界遺産が新たに追加されたときに全く新しい知識を覚える必要はほとんどありません。例えば、今回追加された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」という正式名称をすべて答えさせる問題は出題されません。可能性があるのは上の部分の一部が空欄になっていてその部分を埋めさせる問題でしょう。
注意しておきたいのは下線部を引いた「天草」と「潜伏」です。まず、天草は1637年の島原・天草一揆で名前が出てきている地名です。天草は何県かを聞く問題が出そうな気がします。天草は熊本県です。
潜伏というのは、「鎖国」が行われキリスト教の信仰が禁止されるようになってからも、社会的には普通に生活しながら、信仰を続けていたキリシタンを指します。今回の世界遺産登録における最大のテーマですから、ここを聞く問題は大いにあり得るでしょう。逆に、斜体にした部分を記述させる問題もありかもしれません。

もっとも考えられる出題形式は、日本にキリスト教が伝来してからの広まり、江戸時代に入り鎖国への流れ、開国してから明治になり最終的にキリスト教信仰が解禁されるまでの流れを問う問題でしょう。

長崎県のパンフレット(http://kirishitan.jp/cms/wp-content/uploads/2018/07/brochure_Japanese_201807.pdf)の年表を参考にポイントを見ておきましょう。


1549年 キリスト教伝来
1550年 ザビエルが平戸で宣教する。
ここでは、南蛮貿易で栄えた港町・平戸がポイントですね。
1582年 天正遣欧使節が長崎から出港する。
1587年 豊臣秀吉がバテレン追放令を発布する。
織田信長と豊臣秀吉の対キリスト教政策の比較は入試の定番です。
1614年 江戸幕府がキリスト教禁教令を発布する。
1628年 「絵踏」が始まる。
1630年 寺請制度が始まる。
史料を使って出題される問題です。基本的に絵踏でも踏絵でも大丈夫ですが、最近は絵を踏ませることを「絵踏」、踏ませたものを「踏絵」と分類することが多いです。
1637年 島原・天草一揆が起きる。
天草四郎は出題されますね。世界遺産の構成要素に一揆の舞台だった原城が含まれているので、今年の入試に関しては押さえておいていいでしょう。
1639年 ポルトガル船の来航禁止
1641年 オランダ商館を平戸から長崎の出島に移す。
いわゆる「鎖国」の完成です。入試問題では、「鎖国」下の外交を聞くのが定番なので、おそらく朝鮮や琉球王国などの話に持っていくと思われます。

1854年 日米和親条約により開国。
1868年 五榜の掲示。
明治時代になり、民衆に対してこれまでと変わらない統治を行う意志を明治政府が示しました。つまり、この段階ではキリスト教は禁止されたままです。
1873年 欧米の批判でキリスト教が黙認されるようになる。
1889年 大日本帝国憲法が発布され、法律の範囲内ではあるが信教の自由が認められる。


こうやってみると、今年の長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産はいろいろ問題として作りやすいですね。世界遺産に登録された時も「これまでの日本の世界遺産の中でも最もストーリー性がある」と評されたのも分かります。受験生を指導するうえでこの辺りはきちんと教えておきたいですね。


中学入試プレイバック2018 「東海中学」

先日紹介した、昼夜人口比率が含まれているデータを使った問題です。実際の問題では、このあと表中の①・⑤で昼夜人口比率が低い理由を問う問題が出題されています。

さて、この問題ですが大事なことはいきなり②、④、⑤を出そうとせず分かるところから埋めていくことです。まず、①は人口が最も多い県庁所在地ですから当然横浜市になります。
次いで人口の多い②が大阪市、③が名古屋市になります。どちらも昼夜人口比率が高いですね。東海中学というのは名古屋市にある最難関男子中ですので、名古屋市がわざわざ問題になっていないのも納得です。一般の感覚ですと、大阪市より横浜市のほうが人口が多いイメージも持ちにくいかもしれませんが、偏差値60超の志望校を受験する生徒には基本知識です。

④は人口の多い順に札幌市と答えてもよいですが、県外からの通学・通勤者が極端に少ないというのも大きなポイントでしょう。本州から札幌市に航空機で通勤する人は少数と予測できます。しかし、3000人近くもそんな人がいるんですね。ちょっとびっくり。

問題は⑤です。昼夜間人口比率が低いので東京周辺、つまり千葉市かさいたま市までは想定することができるかです。そして、さいたま市は百万都市ですが、千葉市はそうではありません。それをふまえると、⑤はさいたま市になります。

答 ②大阪市 ④札幌市 ⑤さいたま市


中学入試プレイバック2018 「青山学院中等部」

以前、誤って2017年度のプレイバックをしていた青山学院中等部2018年度の問題を紹介します。

江戸幕府の居城は江戸城ですが、徳川慶喜が大政奉還を行ったのは二条城というのは比較的有名な話です。そもそも、徳川慶喜は将軍として江戸城に上がったことは一度もなく、京都で将軍になり、京都で将軍を辞めてから江戸にもどっています。
大政奉還の様子を描いた有名な絵画(リンク先中央に絵があります)は二条城です。ちなみに絵画は大政奉還をすることを各藩の重臣たちに行っているように描かれていますが、実際は行われていなかったことが最新の研究で分かっています。二条城は京都にある城で「古都京都の文化財」の1つとして世界文化遺産に登録されています。

徳川慶喜は漢字で書くのが難しい人物です。この問題では記号選択なので、「優しい」問題になっていますね。

ところで、大河ドラマ「西郷どん」はここから大政奉還、江戸城無血開城に向かっていくようですね。「ようですね」という表現からわかるように、すでに今年の大河からは離脱してしまいました。肌に合わなかったといってしまえばそれまでなんですが、西郷含めてキャラクターに魅力を感じなったのが、最大の理由です。来年の「いだてん」を楽しみにします。

 


着工建築物数を見ながらデータの読み取りをする

最近の公立高校入試では必ずと言っていいほど統計資料などを使ってデータを読み取る問題が出題されます。これは、たくさんあるデータから、何が分かるかを知ることが重要な現代社会を踏まえた教育が行われているからです。
今回は「着工建築物数」というデータを見ながら、データの見方の話をしたいと思います。

この着工建築物数でわかることは、一言でいうとどれだけ建物がつくられているかということです。ちなみにこのデータをさらに分析すれば、どういう種類の建物が建てられているかやその大きさの区分なども分かりますが、今回は関係ありませんので、割愛します。

まず、グラフの①の期間を見ると、上下はあるものの全体として、着工建築件数は減少傾向にあることがわかります。グラフ上のピーク時に150万件程度だったのが、現在は60万件程度になっています。つまり、半減以下となっているわけです。
ここで、”グラフ上のピーク時”という言い方をしました。こういったグラフの問題のひっかけで「グラフからは高度経済成長期と比べると着工件数が減少傾向にある」といったものがあります。高度経済成長が終了したのは石油危機のあった1973年です。1975年にはじまるこのグラフでは高度経済成長期の着工件数が分かりませんので、比較のしようがないのです。

最近の推移に目を向けると②でやや大きなくぼみが見えます。これは、2008年です。前年に発生した世界金融危機の影響ですね。そして、③で大きく増加してますが、これは2012年です。おそらく、2011年におきた東日本大震災で破壊された建物の復興事業の影響ではないかと予測できます。

こういう時に、サブのデータとして推測を補強する他の資料が用意されていることがあります。

同じ着工建築物数の宮城県のデータです。2011年以降大きく着工建築物数が増えていることが分かります。全国と比較してみたときに、震災以降の増え方の幅が大きいですね。

同じ東北でも福島県と比べるとまた違いがあります。福島県は宮城県と比べて2011年、つまり震災当年の建築件数が増えていません。これは、福島第一原発事故の影響と予測されます。逆に、2012年に増えてから毎年同程度の建築数があります。これは、被災地への帰還事業が現在進められていることと無縁ではないと思われます。

データを読み取る問題はどうしても「見ればわかる」と考えてしまいがちですが、今の内容でも石油危機、世界金融恐慌、東日本大震災がいつおきたかが分かったうえで、それを知識だけではなく活用することが求められます。それが現在の社会科の問題です。


入試に出る歴史上の人物 「源義仲」

標準
源平の争いの中で1183年の倶利伽羅峠の戦いで勝利したのが木曽の源義仲です。これにより、平氏は西国に落ち延びました。京都を抑えた義仲でしたが、同じ源氏である源頼朝に敗れました。

源義仲・倶利伽羅峠の戦いを記述させる問題はほぼ出題されませんが、源平の争いを順番に並べ替える問題はよく出題されます。順序としては

石橋山の戦い(1180年)

富士川の戦い(1180年)★

倶利伽羅峠の戦い(1183年)

一の谷の戦い(1184年)★

屋島の戦い(1185年)★

壇ノ浦の戦い(1185年)★

となります。だいたい、★のついている4つの並べ替えが多いです。源平の戦いはどんどん西へ西へと進んでいくことが資料集などで確認すると分かります。倶利伽羅峠の戦いで平氏が京都から西に逃げたと分かると時期が見えてきます。

読み:みなもとのよしなか
時代:平安時代末期(12世紀後半)

 


中学生向け地理・歴史復習用の教材レビュー

塾の先生前回、中3の夏休みに中1・2の頃の教材に戻って地理・歴史用の復習するのはやめるべきと書きました。今回は、せっかくなので書店で購入できる中学生向け地理・歴史復習用教材のレビューをします。イメージとしては、塾に通っていない中3生が自宅で学習するに当たって適切な教材はどれかを基準としました。
なお、正直なところ、大抵の進学塾では中3の夏期講習で中1・2の復習をする講座があるはずです。そうした講座を受ける場合は専用の教材があるはずなので、それをしっかりやることが優先です。

まず、一番のおすすめから。

中1・2年の社会総復習

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各出版社「10日でできる」や「7日でできる」といったようにお手軽に中1・2の復習をできる教材を出版しています。その中では、新興出版社の教材がお勧めです。自分でお勧めといっておいて何なのですが、新興出版社は数学の教科書の大手、啓林館のグループで完全に理系のイメージなんですよね。社会の教材でここがでてくるのはちょっと意外ではあります。
まず、基本の穴埋め問題があって、同じ単元の練習問題がついていて、最後にまとめテストがついています(ちなみに、大体どの出版社の短期間で復習できる教材はこのスタイルです)。
個人的にこれをお勧めしたのは付属している「持っ得シート」の存在です。下敷きのような形で一枚両面で地理歴史のまとめが載っています。これの歴史が便利で、日本と世界の同時代史がコンパクトにまとめられています。高校受験の歴史で一番ネックになるのは日本と世界の同時代史なので、これは便利です。
ただ、お手軽系のまとめ教材はお手軽なだけに楽なのですが、実戦力がこれだけでつくかというとそれは難しいです。

家だけで受験対策をするということならば、もう1冊これをお勧めします。

高校入試 超効率問題集 社会

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難関入試用の教材「最高水準問題集」シリーズでおなじみの文英堂の教材です。厳密には夏休み向け教材ではないため公民も掲載されていますが、出題頻度と正答率が問題ごとに掲載されていて、実戦向けの問題演習のとっかかりとして最適です。 思考力を問う資料の読み取り問題があるのも好ポイントです。
実は、文英堂も「10日でできる」系の教材を発行しているのですが、現物を見られなかったので今回は割愛しています。

社会に2冊もやっていられない場合はこちらがお勧め。

中1・2の総復習 社会 〔2013〕―高校入試 (完全攻略シリーズ)

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塾用教材も手掛けている文理の教材です。一問一答形式の基本問題→テーマごと標準問題と問題が設定されています。オーソドックスな作りですが、夏休みにやり切れる量だと思います。

最後に紹介するのはこちら。

中1・中2の完全復習 社会 改訂版 (東進ブックス 高校入試)

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映像授業でおなじみ東進の教材です。14単元に地理・歴史をまとめています。穴埋め形式の問題集ですが、このテキストのポイントは穴埋め問題で書き込む部分とは別に赤字で書かれた部分があり、付属の赤いシート(暗記用によく使われるものです)を使うとその部分を問う別の問題になるしくみになっています。社会科の授業で演習をする場合、解答だけではなくその周辺知識を発問で確認するのは、私自身も必ず行う基本スタイルです。それが、教材としてシステム化されているのはすばらしいです。
すばらしいのですが、そのあとの実戦問題も答えを赤字で確認するスタイルになっていて、解説が甘いんですよね。純粋にまとめ用の教材としてはお勧めできるのですが。

トータルとしては新興出版社「中1・2の社会総復習」をさらっとやって文英堂「超効率問題集社会」に進むのがお勧めです。