「 2018年07月26日 」一覧

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」から何が入試に出題されるか?


最近、毎年のように追加されるので少しありがたみが薄れているような気がする世界文化遺産ですが、今年は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が追加されました。
ありがたみが薄れたとはいえ、入試問題で世界遺産は重要なテーマの1つです。新しく追加された世界遺産は何かと問題で出題されるので、注目ポイントを見ておきましょう。

まず、世界遺産が新たに追加されたときに全く新しい知識を覚える必要はほとんどありません。例えば、今回追加された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」という正式名称をすべて答えさせる問題は出題されません。可能性があるのは上の部分の一部が空欄になっていてその部分を埋めさせる問題でしょう。
注意しておきたいのは下線部を引いた「天草」と「潜伏」です。まず、天草は1637年の島原・天草一揆で名前が出てきている地名です。天草は何県かを聞く問題が出そうな気がします。天草は熊本県です。
潜伏というのは、「鎖国」が行われキリスト教の信仰が禁止されるようになってからも、社会的には普通に生活しながら、信仰を続けていたキリシタンを指します。今回の世界遺産登録における最大のテーマですから、ここを聞く問題は大いにあり得るでしょう。逆に、斜体にした部分を記述させる問題もありかもしれません。

もっとも考えられる出題形式は、日本にキリスト教が伝来してからの広まり、江戸時代に入り鎖国への流れ、開国してから明治になり最終的にキリスト教信仰が解禁されるまでの流れを問う問題でしょう。

長崎県のパンフレット(http://kirishitan.jp/cms/wp-content/uploads/2018/07/brochure_Japanese_201807.pdf)の年表を参考にポイントを見ておきましょう。


1549年 キリスト教伝来
1550年 ザビエルが平戸で宣教する。
ここでは、南蛮貿易で栄えた港町・平戸がポイントですね。
1582年 天正遣欧使節が長崎から出港する。
1587年 豊臣秀吉がバテレン追放令を発布する。
織田信長と豊臣秀吉の対キリスト教政策の比較は入試の定番です。
1614年 江戸幕府がキリスト教禁教令を発布する。
1628年 「絵踏」が始まる。
1630年 寺請制度が始まる。
史料を使って出題される問題です。基本的に絵踏でも踏絵でも大丈夫ですが、最近は絵を踏ませることを「絵踏」、踏ませたものを「踏絵」と分類することが多いです。
1637年 島原・天草一揆が起きる。
天草四郎は出題されますね。世界遺産の構成要素に一揆の舞台だった原城が含まれているので、今年の入試に関しては押さえておいていいでしょう。
1639年 ポルトガル船の来航禁止
1641年 オランダ商館を平戸から長崎の出島に移す。
いわゆる「鎖国」の完成です。入試問題では、「鎖国」下の外交を聞くのが定番なので、おそらく朝鮮や琉球王国などの話に持っていくと思われます。

1854年 日米和親条約により開国。
1868年 五榜の掲示。
明治時代になり、民衆に対してこれまでと変わらない統治を行う意志を明治政府が示しました。つまり、この段階ではキリスト教は禁止されたままです。
1873年 欧米の批判でキリスト教が黙認されるようになる。
1889年 大日本帝国憲法が発布され、法律の範囲内ではあるが信教の自由が認められる。


こうやってみると、今年の長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産はいろいろ問題として作りやすいですね。世界遺産に登録された時も「これまでの日本の世界遺産の中でも最もストーリー性がある」と評されたのも分かります。受験生を指導するうえでこの辺りはきちんと教えておきたいですね。


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