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予習シリーズ社会解説 「6年上第8回 くらしと政治(1)」

6年上の第2・3回で国会・内閣・裁判所の学習を行いました。その復習をしながら、地方自治の学習をしていくのが第8回です。

まず、最初の三権分立の部分は新しいことが特にあるわけでもなく、すでに総合回で復習済みの単元なので、授業ではさっと飛ばします。強いていえば、内閣の省庁をおさらいする程度でしょうか。三権分立の図式を改めて書くことはよくありますね。

選挙に関しては第2回では、軽くしか触れていないことが多いので改めて説明します。特に比例代表制の説明ですね。比例代表制は政党の得票率に応じて議席を分配する仕組みです。ここでの、ポイントは投票用紙に書くのは政党名ということです。中学校の定期試験と違い、ドント方式で議席を分配する計算は中学入試では出題されません。ただ、参議院の非拘束名簿式の説明を少ししておく必要があります。参議院では政党名でも立候補者名でも投票出来ることがわかれば十分です。
一票の格差も重要ですね。授業では議員一人当たりの有権者が1万人と2万人の選挙区でどちらの価値が重いかという質問をしますね。生徒は一瞬戸惑うので、分数にして1万分の1と2万分の1で考えようというと大体わかります。
若い世代の投票率が低いという話もきちんとします。投票率が低いということは若い世代の意見が政治に反映されなくなってしまうから、投票に行くべきと必ず言います。これは、受験とは関係ないのかもしれませんが、社会科を教える人間は選挙の大切さは必ず伝えなくてはいけません。

地方自治では、まず国会と地方自治ではしくみが違うことを理解させることが大事です。具体的には、国民が選んだ国会議員が内閣総理大臣を指名する国に対し、地方では住民の直接投票で首長を選ぶという違いです。
首長の被選挙権も重要ですね。都道府県知事・参議院議員が被選挙権が30歳以上で、他(衆議院議員、地方議会議員)は25歳以上というのは定番です。
地方公共団体の仕事は割とあっさり説明します。ポイントは地方裁判所と外交は国の仕事だということでしょうか。特に、地方裁判所は地方という言葉が入っているので地方の仕事と勘違いする生徒がいますし、そういった問題も出題されやすいです。

直接請求権は地方自治の最重要ポイントです。

必要な署名数 署名の提出先
条例の制定・改正・廃止 有権者の
50分の1以上
首長
監査の請求 監査委員
議会の解散 有権者の
3分の1以上
選挙管理
委員会
首長・議員の解職
(リコール)

このように表にまとめて説明をします。生徒が直接請求権を請求権(裁判を受ける権利)と混同します。直接請求権は参政権なのはいつも確認します。
住民投票は直接請求権の重要なポイントでその違いがわかりにくいので注意が必要です。住民投票は大きく3つのパターンがあります。

  1. 直接請求権により、議会の解散・リコールを行うかの住民投票
  2. 特別法制定にあたって行われる住民投票(憲法95条)
  3. 地方公共団体で条例を定めて行われる住民投票

問題は3ですね。これは、条例で独自に選挙権を定めることができるので中学生でも投票する住民投票もあります。また、この住民投票法的な拘束力があるわけではないあくまで参考意見であることも重要です。

市町村合併は少し前のホットワードでした。最近時折見る問題では、市町村の数をグラフ化して平成になってから村の数が減って市が増えている理由を聞く問題があります。こたえは「市町村合併で村が合併して市になったため」といったあたりです。


予習シリーズ社会解説 「5年上第9回 日本のすがた」

「日本は狭い国か広い国か?」

この質問をすると、大抵の子どもは「狭い国」といいます。世界には190あまりの国がありますが、日本の面積は61位です。日本は全体でいえば、広い国ということになります。そういうと、子どもたちはちょっとびっくりするので、こういった国土に関する単元の導入としては最適ですね。

さらにいうと、日本は周囲200カイリの排他的経済水域がとても広いです。国土の約11倍あり、世界でも上位です(予習シリーズでは6位とありますが、排他的経済水域は取り方によって順位が前後するようで、順位が出ることはありません)。

経線・緯線について注意すべきポイントは日本標準時子午線です。日本の標準時子午線は東経135度で兵庫県明石市を通るというのは基本知識です。注意ポイントは「東経」を忘れないことです。「日本の標準時子午線は経度何度か答えなさい」という問題を出題すると必ず「135度」とだけ書いて不正解になる生徒がいます。きちんと「東経135度」と書くように指導しています(それでも書き忘れは発生するのですが…)。
時差はできるだけ簡単に説明するようにしています。難しくやりすぎるとドツボになりがちです。地球は一周360度で24時間で分けると15度で1時間になります。日本は(本初子午線の通る)イギリスより9時間早いぐらいわかっておけば十分でしょう。
ちなみに、アメリカは標準時が4つ、ロシアは11あるというと、けっこういい反応をしてくれます。

日本の面積…約38万㎢
日本の人口…約1億2700万人

この2つはそのものが入試に出題されるわけではありませんが、ほかの国と日本を比較するうえで基本データとなるので必ず覚える必要があります。人口密度は12700万÷38万=約340人/㎢と計算で出すことができます。世界の人口・面積は1,2位がわかるようにしておきましょう。それぞれ1位は結構子どもたちでも知っていますが、人口2位インド、面積2位カナダは知らないです。

領土問題は(政治的に)難しい問題なのであまり深く立ち入らないようにしています。受験的には問題が起きている場所と対立をしている国が言えるようにしておけば大丈夫です。

過疎過密は対になっているものなので、セットで教えるようにしています。4年生のときに学習しているヒートアイランド現象について、再度説明しておいたほうがいいですね。

少子化と高齢化については、5年生段階では現象だけ理解しておけば十分です。背景については、生徒に聞かれれば少し答えるぐらいのスタンスで授業をしています。ところで、

高齢化社会…高齢者の割合が7%以上
高齢社会…高齢者の割合が14%以上
超高齢社会…高齢社会の割合が21%以上

という分類があるのですが、28%以上の呼び名は今のところありません。近い将来、日本の高齢者の割合は28%を超えます。どう呼ぶようになるんでしょうね。…スーパー高齢社会?


予習シリーズ社会解説 「4年上第9回 一年中あたたかい地方のくらし」

日本は南北に国土が長く、山地から低地まで多様な土地があります。予習シリーズではこの第9回から、特徴的な地域の学習を進めていきます。最初は沖縄県です。

沖縄県の県庁所在地はご存じの通り那覇市です。県名や県庁所在地を漢字で書くのは社会の基本ですが、今の段階で那覇を漢字で書かせるのは無謀です。私なら板書でもひらがなで書きます。

この回では雨温図が初登場します。ずっと社会の先生をしていると雨温図は見慣れすぎていて、当たり前にしゃべってしまうのですが子どもたちにとっては初めて見るものです。雨温図の見方を説明する必要があります。グラフの読み取りは意外とできないものです。
雨温図から読み取れるデータは月ごとの降水量と気温です。日本の降水量は年1,700~1,800mmと言われています。ちなみに東京はもう少し少なくて1,500mm程度です。これを12で割ると一か月100mm程度になります。これが、降水量の多い少ないの目安ですね。気温は表にしてみましょう。

季節 春秋
気温 0~10度 10~20度 20度~

「沖縄は12月ごろに秋が来てそのまま春になる」という話をすると子どもたちは大抵驚きます。

沖縄には台風が良く来るという大人にとっての常識も子どもたちにとっては知らないことです。台風に備えるための家づくりは将来的な記述問題の定番の1つです。

家全体を低くつくり屋根がわらをしっくいでとめ、周囲を石垣・林で囲う
丈夫なコンクリート製で家を造る

また、沖縄は雨が降るものの水通しの良い土地で大きな川がなく水不足になりやすいため、屋根の上に給水タンクを取り付けている家が多いのもよく記述で聞かれます。

沖縄の農業と言えば、なんといってもさとうきびです。

普天間基地沖縄というと、アメリカ軍基地問題を外して語ることはできません。ただし、小学4年生になりたての子どもたちにとってはやや難しい話になってしまうので、下手に深入りするのは禁物です。それでも、「ひめゆり部隊の慰霊碑」「平和の礎(いしじ)」といったあたりは入試でも出てきますね。

総じて、思いのほか入試で記述でも聞かれるような内容の多い重要な単元です。もちろん、この段階で入試を意識して暗記させるとかまで必要はありません。ただ、ゆっくり沖縄県の話をする機会はそうそうないので、教える側はそれを理解しておく必要がありますね。


予習シリーズ社会解説 「6年上第7回 政治・外交史(1)」

予習シリーズ6年上では4回に分けて、歴史の復習が行われます。これが意外と難しい。何が難しいかというと「何を教えるかの選択」です。
この回でいえば、旧石器時代から平安時代まで幅広い範囲の復習を行うのですが、ある程度経験のある教師であれば1回の授業でこれらの時代を振り返ることは難しいことではありません。全部の内容を説明するのは最初から不可能ですから、重要人物なり事件なりに絞って解説をしていけばいいんです。
問題になるのは、この単元を学習する4月上旬以前、具体的には冬休みに同じ内容の復習を行っていることです。さらに、直近の春休みに社会経済史や文化史の復習を行っている場合もあります。割と一通りの説明をし直しているんですよ。そうすると、もう一度一から説明するよりも、演習を中心に授業を組み立てて答えを確認する中で解説を入れていくスタイルのほうが個人的には好みです。ただ、生徒の理解度が低いクラスでそれをすると、結局ほとんど解けずに終わってしまう可能性もある。そのあたりの判断を含めて「何を教えるかの選択」が難しいですね。

個人的に授業の中で解説するのは、「歴史の流れを解説していくときに後回しにされやすいが、重要度の高い内容」です。

旧石器時代から弥生時代では予習シリーズでも地図でまとめられていますが、主だった遺跡の場所ですね。岩宿遺跡(群馬県)、三内丸山遺跡(青森県)、吉野ケ里遺跡(佐賀県)といったあたりです。このあたり、地図でまとめてあるのはさすがです。

古墳・飛鳥時代では朝鮮半島の高句麗について触れておきたいですね。これも地図になっています。百済・新羅は仏教伝来や白村江の戦いで登場しますが、ちょっと高句麗は薄くなりがちです。4世紀終わりに倭と争って勝利したと記録される好太王碑が有名です。
持統天皇も改めて触れておきたいです。日本最初の計画的につくられた本格的な都である藤原京に都を移した天皇です。史上初の上皇というのも、2019年度入試を考えると狙われやすいテーマです。

奈良時代では木簡を教えたいです。荷札に使われた木の板である木簡は調や庸といった話と繋げやすく、史料問題で出題されます。なお、予習シリーズにある各地の調のリストは覚える必要はありません。

源義家平安時代は東北地方で活躍したアテルイ源義家を確認します。桓武天皇によって征夷大将軍に任命され、東北地方に遠征した坂上田村麻呂と争った蝦夷の指導者がアテルイです。江戸時代アイヌのリーダーとして松前藩と争ったシャクシャインが入試の基本知識になっている今アテルイも抑えないといけません。源義家は11世紀後半に東北地方でおきた前九年の役、後三年の役で活躍した源氏の武将です。前九年・後三年の内容は覚える必要はないのですが、源義家はちょいちょい入試で聞かれます。
ちなみに、中学入試で覚える源氏は源頼朝・源義経兄弟とその父である源義朝、そして源義家ですね。


予習シリーズ社会解説 「5年上第8回 結びつく人と物と情報」

入試問題のリード文で登場する子どもたちは結構な確率で旅をしています。その学校の修学旅行の行程を説明する場合もありますし、実家の祖父母に会いに行く場合もあります。そういったリード文をつかうことで日本各地の地理の問題を出題していくわけです。その時、移動に使うのが公共交通機関です。そうすると、交通に関する出題も一緒にされます。
もちろん、交通に関するテーマの問題も多く出題され、結果として交通は入試における一大テーマです。

最初に貨物輸送・旅客輸送の自動車・鉄道・船・航空機の輸送量を比較したグラフが登場してます。このグラフで子どもたちに「普段一番乗るのはどれ?」と聞きます。答えの8割が自動車、2割が鉄道です。グラフを見ると旅客輸送の6割が自動車、3割が鉄道です。まず、この常識感覚が正しくグラフに反映させていることを伝えています。各輸送方法の長所短所をまとめることも大切ですね。

利点 欠点
自動車 目的地に直接運べる 二酸化炭素の排出が多い
鉄道 予定通りの時刻に運べる 積み替えの手間が大きい
大量輸送ができる 時間がかかる
航空機 長距離を短時間で輸送できる 二酸化炭素の排出、運賃が高い

交通で最大のテーマは新幹線です。新幹線はその名前、そのルート(どの都道府県を通っているか)、新幹線が通っていない都道府県、経済への影響と出題形式は様々です。もちろん、この話を一回でするのは無理です。とりあえず、新幹線の名前を覚えるところからスタートです。上位生は駅名までいきたいですね。
新幹線の名前でまず覚えるべきは東海道新幹線です。1964年に開業した日本最初の新幹線は歴史でも登場する知識です。注意すべきは、上越新幹線です。高速道路の関越自動車道もあてはまるのですが、少しだけ覚えにくいんですね。東北を通っているから東北新幹線、九州を通っているから九州新幹線といけないんです。だから、授業では上越新幹線は確実に触れます。

環境問題が重要視される現代ではモーダルシフトも重要内容です。モーダルシフトとは自動車輸送に鉄道・船の輸送を組み合わせることで二酸化炭素の排出を抑える仕組みです。ここは、記述問題で解答できるようにしておきたいです。

この単元のもう一つのテーマである通信は教材を作成する側にとって難しい単元です。なぜなら、技術が日進月歩過ぎてテキストに掲載した内容がすぐに古くなるからです。昔、教材作成にかかわったときに当時新しかった「ワンセグ」を教材に入れようとした人がいて、どうせすぐ古くなるからやめておこうと止めた経験があります。
情報社会とよばれる現代で通信は重要なテーマであり、入試も出題されますが覚えることはそれほど多くありません。ここでは、ある程度テキストに載っていないことに話を広げます。予習シリーズでは郵便・新聞→ラジオ→テレビ→インターネットと技術の進化について説明されています。新聞やラジオの技術は本質的には100年前のものです。ですが、今でも利用されています。ここで子どもたちに聞くのは新聞やラジオの長所です。まとめるとこうなります。

通信方法 特性
新聞 保存がしやすく、繰り返し見ることが簡単。
ラジオ 音声だけで情報を認識できる。受信が簡単で災害時活躍する。
テレビ 情報を映像でみることができる。
インターネット 簡単に情報を発信できる。リアルタイム性が高い

電子マネーや緊急地震速報といった内容は子どもたちが当たり前に触れたことのある内容です。ですから、大上段に構えるのではなく、情報社会は日常にあるよねといった感じで、情報の利用における課題も含めて話していくようにしています。


予習シリーズ社会解説 「4年上第8回 地図の見方(2)」

今回は等高線と縮尺が登場します。前回地図記号がたくさん出てきて覚えることが多かったですが、今回は覚えることは少ないです。

等高線の平面図から断面図を作成する問題が時折入試に出題されます。国土地理院のキッズ向けサイトに作図の方法が掲載されている(http://www.gsi.go.jp/KIDS/KIDS07.html)ので紹介しておきます。

この問題の最大のネックは子どもたちが言われたとおりに作図ができないということです。やり方自体は複雑なものではないのですが、まず等高線から垂直な線が引けないですね。それから、平面図から断面図に高さをそろえるときは補助線を点線や薄く引くべきなのですが、それができない。結構丁寧に見てあげないと、こちらが意図した図は完成しません。クラスの人数が多くない場合は一人一人様子を見てあげられますが、20~30人ともなると難しくなります。保護者の方が見てあげることが必要になってくるかもしれません。この作図が入試で必須というわけではありませんが、他の科目も含めて図をきちんと書けるかどうかというのは大切なことです。

次に縮尺の話です。縮尺の指導で気を付けないといけないことは、子どもたちは割合を習っておらず、分数もあやふやな場合が多いということです。つまり、「この地図の縮尺は25000分の1」といって、それが実際の長さを25000分の1に縮めたものであると通じるわけではないということです。予習シリーズでも「250mつまり、25000cmの長さを1cmに縮めています」と25000分の1の地図の1cmは250mという直接的な表現をしています。

縮尺でもう1つ注意するところは、単位の換算です。
地図上の長さ×縮尺の分母=実際の長さ
というのは縮尺の問題の基本公式ですが、ここで出てくる単位はcmです。答えではmもしくはkmで答える必要があります。この単位換算が意外とできない。指導する側としては一瞬算数の先生になったつもりで説明する必要があるところです。
算数の問題で出題されれば簡単なことが、社会で出題されると意外とできないというのはよくあることです。科目が違ってもやることは同じという切り替えは子どもたちにとって簡単ではないということです。

前回登場した地形図です。地形図の読み取りのポイントの1つが等高線に書かれている数字を見つけることです。たとえば、中央上に119という数字があります。これで、この地図の大体の高さは100mぐらいということが判別できます。右やや下に86という数字があるので、左より右のほうが土地が低いということです。子どもたちは地形図を見たときに何を見たらいいか分かりません。ですので、何を見つければいいかということを指導していくことが重要です。


予習シリーズ社会解説 「5年上第7回 日本の貿易」

貿易に関する知識は、農業をテーマに問題を作っても食料輸入に関する問題を作れますし、工業をテーマに問題を作れば資源の輸入や自動車の輸出などに関する出題ができます。つまり、いろんな分野の問題に顔を出せる便利なテーマということです。

予習シリーズでは最初に大豆などの輸入相手先がグラフで載せられています。少し離れたところに食料品の輸入が増えているというテーマで小麦などのグラフも載っています。同じジャンルのグラフが別々に構成されているのですが、授業ではまとめて解説しますね。今回登場している貿易品と貿易相手国を表にまとめるとこのようになります。

品目 1位 2位
大豆 アメリカ ブラジル
肉類 オーストラリア
小麦 カナダ
とうもろこし
衣類 中国 ベトナム
野菜 アメリカ
魚介類 チリ
石炭 オーストラリア インドネシア
鉄鉱石 ブラジル
原油 サウジアラビア アラブ首長国連邦
自動車 ドイツ アメリカ
木材 カナダ

グラフだけ見ると、いろんな国が出てきているように見えますが、表にして色付けするとアメリカ・中国・オーストラリアだけで半分ぐらいを占めることが分かります。まず、その意識を生徒に持ってもらうことが大切ですね。
ここで掲載されていない輸入品目でいうと天然ガス・綿花あたりがありますが、今回は触れません。

私が子どものころは最大の貿易相手国=アメリカでしたが、すっかり中国になってしまいました。アメリカが減っているのではなく中国が増えているんですね。ちょっと余裕のあるクラスでは輸入相手国の上位、サウジアラビア・オーストラリア・アラブ首長国連邦の共通点を聞いたりします。資源国というのが答えです。

現在の日本では、以前ほど加工貿易に偏っているわけではありませんが、それでも加工貿易は日本の貿易を語る上での重要なキーワードです。日本の貿易の昔と今というグラフでは日本の貿易の変化が読み取れます。
かつて(1934~1936年)は、せんい原料を輸入し、せんい品に加工して輸出していました。その後、原油を輸入し機械類を輸出する典型的な加工貿易の時期を経て、加工貿易を行いつつも逆輸入により製品の輸入が増えているというのが読み取れる内容です。テストではここででてきた品目を記号でグラフに当てはめる問題が出題されます。

日本の主な貿易港についてはまず成田国際空港ですね。地図を使って場所を確認しましょう。この時期ですと、千葉県と確認できない可能性があります。このあたりは地域差があって、関西圏ですと千葉県はちょっと身近ではない場所なので覚えていない子もそれなりにいるでしょう。首都圏でここで地図を見て千葉県を言えない生徒はちょっと危険ですね。
貿易港から輸出入されている品目はおおまかな理解で大丈夫です。つまり、空港からは集積回路など小型のもの、名古屋港・横浜港からは石油を輸入し自動車を輸出、東京港・神戸港は衣類・食料品の輸入という3分類です。名古屋港と横浜港、東京港と神戸港の区別は貿易額の違いで見分けましょう。

ワシントン 最後に、円高・円安についてです。円高という言葉を知っていても大抵の生徒は逆にとらえていることがほとんどです。つまり、1ドル=100円が1ドル=200円になると円高だという勘違いです。ここで「円高というのは円の価値が高くなることなんだ。そうすると、1ドル=100円と1ドル=200円どちらかが円の価値が高いかな」という質問をします。それでも迷っている場合は、「1ドルのものを安く買えるのはどっち?」と付け足します。ここで、大半の生徒は1ドル=100円のほうが円の価値が高いことに気がつきますね。
そこで、さらに付け足して「1ドルのものを買いに行くというのは輸出かな輸入かな?」と聞きます。ここは輸入という答えが出るので「じゃあ、円高になると輸入が有利になるということだね」という結論に持っていきます。
この手の説明のコツは数字を極端にすることです、予習シリーズでは1ドル=100円と1ドル=80円というありそうな数値を使っています。教材としては当然の配慮ですが、授業ではその必要は薄いです。先ほど200円という現実的ではない数字を例に出したのは分かりやすさを優先したためです。授業においては、教材を咀嚼したうえで自分のやりやすい形にアレンジをすることが重要です。


予習シリーズ社会解説 「4年上第7回 地図の見方(1)」

近年の入試では地形図の出題が増加傾向にあります。これは、現在の入試で単純な暗記ではなく資料やデータを読み取る力を測りたいという意向が大きいためです。一部の有名な地形図はともかく大半の地形図は、その入試当日初めて見る図です。初見の資料を読み取る力が問われる問題、それが地形図の問題です。
ちなみに、下の地形図は国土地理院近江中庄駅周辺の2万5000分の1の地図で扇状地を代表する地形図としておなじみのものです。一部の有名な地形図の代表格として紹介します。


どうでもいい話ですが、俳優・大泉洋の出世作「水曜どうでしょう」の企画「試験に出るどうでしょう」で最初の問題に出題された地図ですね。大泉さんが「天井川~」と言ったやつです。

これまで、予習シリーズ4年上の解説ではそれほど覚えることは多くないという話をしてきました。しかし、この回は違います。地図記号の登場です。予習シリーズ44ページを見るとなかなかの数の地図記号が掲載されています。そして、これらの地図記号は覚える必要があります。今回は地図記号の中でも受験において特に重要なものを紹介します。注意すべきは似た地図記号の組み合わせです。

市役所市役所 町役場
地形図の読み取りで区別する必要がある組み合わせですね。

警察署 交番
警察署を警察所と間違えやすいです。

小中学校 高等学校
「学校」とだけ書いて不正解になりやすいですね。

工場 発電所 灯台
間違えやすい地図記号の筆頭です。

神社 寺院
子どもたちが混同しやすい施設です。初詣で行くのが神社と説明します。

博物館・美術館 図書館 老人ホーム
比較的最近(といっても15年ぐらい前ですが)に追加された地図記号のため狙われやすいです。

田 畑 果樹園
土地利用は地形図の読み取りでとにかく使われますね。

広葉樹林  針葉樹林
同様に読み取りで狙われますし、先々林業では広葉樹林と針葉樹林の違いが問題として使われます。

あと、授業をするときに注意するのは東西南北の四方位です。ついつい分かっているだろうと思い込んで説明をしがちなので、意識的に丁寧に説明をするよう心がけています。


予習シリーズ社会解説 「4年上第6回 健康で住みよいくらし」

日本という国は世界的にみても降水量の多い国です。降水量の少ない中央高地や瀬戸内海沿岸でも年間1,000mm程度の降水量はあります。世界でこの降水量を超えるのは、熱帯(熱帯雨林気候・サバナ気候)と日本と同様の温暖湿潤気候の地域でしかありません。

予習シリーズでは「日本は雨の多い国だが、人口も多いので一人あたりの降水量は、砂漠の国であるサウジアラビアよりも少ない」という話が載っています。水を資源として見たときの重要性を語るときによくでるエピソードです。もちろん、科学的根拠のあるデータではあるのですが、水資源の重要性を強調するために、ある大事な面を無視しています。それは、サウジアラビアの面積は日本の約6倍でその大半は人の住めない砂漠であることです。人の全く住んでいない砂漠に降る雨を当然人の生活に使うことはできません。国土が森林と砂漠では保水力も全く違います。
科学的な驚きを与えはしますが、きちんと補足説明をしないと誤解を与えるデータだと思います。

浄水場
牛乳コップ一杯を魚が住めるようにするには約20杯の水が必要であることが書かれています。月ごとのテストでも入試問題でも、何杯必要か記号で答えなさいといった問題が出題することありません。

この単元で気を付けるべきはリサイクルとリユースの違いでしょう。
リサイクル…かんやびんなどを回収した後、資源に戻し工場で別のものに生まれ変わらせること。
リユース…一度使ったものを洗ったりして繰り返し使うこと
というのが説明です。日常生活で使うリサイクルというのは実はリユースであることが多い(リサイクルショップ)のがポイントです。授業では、「ペットボトルを洗って使うのがリユースで資源ごみで出すのがリサイクル」と話します。

実のところ、水やごみといった問題は学校の社会の授業でも比較的時間をかけて説明をされ、また社会見学で浄水場に行くことも多くなじみやすい単元です。覚えることも多くないので、割と気楽な単元です。小4全体を通して言えることですが、覚えることが少ない分こういう単元で「なぜ?どうして?」という発問をすることで考える姿勢を養いたいところですね。


予習シリーズ社会解説 「6年上第6回 日本の産業」

予習シリーズ6年上では第5回まで、いわゆる公民単元を学習してきました。つまり、全て新しい単元を学習していたことになります。この第6回からは新しい内容を取り入れつつも、4,5年生で学習した内容を復習する単元が織り込まれています。この第6回では日本の産業、具体的には農業・林業・水産業・工業・資源の復習をします。

ところで、この6年上から予習シリーズの構成が少し変わっています。まず、説明のページが増加しています。そして、要点チェックが練習問題というやや実戦形式の問題演習になりました。また、サブテキストである実力完成問題集の「まとめてみよう」がサブノート形式の穴うめから一問一答形式の知識確認になっています。
これは個人的意見ですが、この「まとめてみよう」一問一答に力を入れすぎるとドツボにはまります。あくまで知識の確認用であってここで全部覚えようというものではありません。無理をして全部覚えようとすると膨大な時間がかかりますし、実際の問題でそれほど一問一答が出題されるわけでもありません。

この単元を始めると、特に6年生から中学受験の勉強を始めた保護者の方から「量が多すぎて覚えられず困っています」と相談を受けることがあります。こんな直截的な表現はしませんが「1回で覚えきるのは無理です」。先ほど挙げた単元は一度目の学習したときには約半年をかけて学習している単元です。6年から始めていきなりできるわけありません。ここはこらえて1つずつ追いかけていくしかないです。

 正直なところ、一個一個説明するとどれだけ時間があっても足りない単元です。その中で、少し厚めに解説をする分野があります。それは、林業です。林業は4年生の後半で学習してからはなかなかまとまって説明する機会が少ない単元です。今回の単元で書かれていることはもちろん、「植林→下草がり→枝打ち→間伐→伐採」の流れも話します。また、森林が手入れされないことにより発生する問題についても話しておきますね。最近の入試では資源・エネルギー単元の出題が増えており、木材は立派な資源であることを忘れてはいけません。

あと、こういったまとめ単元では授業のすべてを説明に費やさず問題演習解説をできるかぎり入れるようにしています。「演習は宿題で丸付けまでしてくるよう」と指示する人も多いのですが、私は子どもたちが自分できちんと丸付けをしたうえで、解説を読んで理解する手順をふめるという性善説に立っていません。それができない生徒は残れないような最上位クラスはともかく、それ以外のクラスでは確実に問題の解説をして解法の確認をすべきと考えています。