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予習シリーズ社会解説 「4年下第4回 ふるさとじまん(4)近畿地方」

前回の中部地方は盛りだくさんでしたが、今回の近畿地方は意外と学習内容は少ないです。関東もそうだったんですが、小4段階では人口といった数値にあまり触れないのと、いろんな産業にまんべんなく行っている地域は分かりやすい特徴がないので覚えることが少なくなるんですよね。

近畿地方を教えるときに意識しているのは都道府県の位置関係です。特に京都府ですね。都道府県の中でも単体で形が出てきてどこかわかりにくい代表格の一つです。そもそも、京都府が海に面しているイメージが薄いんですよね。日本三景である天橋立があるので、海に面していて当たり前なんですが、京都市が盆地なので京都府も内陸と勘違いしやすいんですよね。都道府県の形をデフォルメした地図だと京都府と兵庫県が接していない場合もあり、ここが隣接していることは必ず伝えます。
ちなみに、神奈川県・愛知県と並んで兵庫県も県庁所在地・神戸市が先に出て県名がでてこない都道府県です。兵庫県の項目では阪神・淡路大震災が登場しています。1995年は今の子どもたちにとっては生まれる前で、見たことも聞いたこともない出来事なので知ってる前提で話をしないようにしないといけません。…でもよく考えると、今の若い講師にとっても生まれる前かもしれないと思えてきました。中年男性にとってはつらい現実です。

滋賀県といえば琵琶湖、琵琶湖といえば滋賀県です。さすがに琵琶湖はみんな知っています。ですが、漢字が難しいですよね。ここは頑張って覚えさせたいです。「琵」「琶」ともに形声文字で比(ひ)巴(わ)と読めるという話をして逆に書き間違えるパターンはいつもつぶしています。琵琶湖から流れる淀川が、滋賀県では瀬田川、京都府だと宇治川、大阪府だと淀川と名称が変わるのは、地域によって川の呼び名が変わる例の定番です。関西の入試だと覚えておいたほうがいいでしょう。

和歌山県・三重県・奈良県にまたがる紀伊山地は日本の山地・山脈の中でも出題されやすい産地です。林業が盛んであることや三重県の尾鷲市は雨が多いなど関連事項も多いですね。


予習シリーズ社会解説 「5年上第3回 奈良時代」

奈良時代といえば聖武天皇、聖武天皇といえば奈良時代。

と言い切っていいほど、奈良時代を代表する人物は聖武天皇です。聖武天皇に関連する語句を一覧にすると
聖武天皇
国分寺・国分尼寺
東大寺→正倉院→シルクロード・校倉造
→行基
→光明皇后
墾田永年私財法→荘園
→天平文化

と奈良時代の流れがある程度説明できてしまいます。奈良時代を触れて聖武天皇に触れないのは難しいレベルです。個人的には聖武天皇は入試で最も登場する歴史上の人物ではないかと思っています。

授業を上手にするテクニックの1つに「テキストの順番にこだわりすぎない」ということがあります。テキストに掲載されている順番は、テキストの体裁として整った順番になっており、授業で説明するときに分かりやすいかどうかとは微妙にずれています。この単元では、
1 律令政治
2 平城京
3 聖武天皇の政治
4 農民の生活と新しい土地政策
5 海をわたった人々
6 天平文化
という小項目になっていますが、できれば聖武天皇の話をしてそのまま天平文化の話に持っていきたいんですよね。逆に、土地制度の話をした流れで、農民の困窮に話をもっていきたい。ですので、私は授業では1・4の話をしてから、2・3・5・6という風に分けて説明をしています。馬鹿正直に教科書順に授業をする必要はないのです。

奈良時代の最大のネックは律令制度です。人物が出てこない、土地制度は子どもたちにとって楽しいものではないんです。でも、出題される内容です。
まず、触れるのは地方の役人であった国司郡司里長です。実戦知識としては国司が中央貴族、郡司が地方豪族、里長が有力農民から選ばれたというのは覚えておきたいです。正誤問題でよく登場します。あと、「群」司と間違えやすいので気を付けましょう。

調の違いも重要です。庸・調は男子のみの負担で中央の財源になったことも大事です。庸・調を運ぶ時の荷札を木簡といいます。木簡からは支配していた地域、その地域の特産品など支配の様子がわかる貴重な資料になっており、思いのほか入試で出題される語句ですので必ず覚えておきましょう。
労役・兵役では防人が別格の出題頻度ですね。

飛鳥文化・白鳳文化と比べて、天平文化は学習内容も多いです。日本の歴史をまとめた歴史書である「古事記」「日本書紀」の区別はそこまで意識する必要はありません。一応、古事記のほうが古いと知っておくといいでしょう。テストでは、どちらかの名前が書いてあってもう一方を書く問題が大半です。ただし、記紀という言葉があるように、古事記と日本書紀では漢字が違うことに注意が必要です。


予習シリーズ社会解説 「4年下第3回 ふるさとじまん(4)~中部地方~

日本の地方別で最大の勢力を誇るのが、9つの都道府県を抱える中部地方です。
まず、飛騨山脈木曽山脈赤石山脈の日本アルプスが初登場です。日本を代表する山脈であり北西から飛騨・木曽・赤石と並んでいるので順番で言えるようにしましょう。飛騨の「騨」の右側は「単」ではなく「單」が正しいです。ただ、最近では略字の「騨」でも許容されることが多くなっています。

まず、中部地方最大の人口を持つ愛知県からですが、まず愛知県は名古屋市のイメージが強くて名前が出てこない都道府県ですね。よく、生徒が「名古屋県」といったりします。愛知県=工業出荷額1位は定番中の定番です。まず、トヨタが愛知県の企業でそのまま豊田市があるところから覚えておきましょう。

日本で一番高い山といえば富士山です。富士山の名前は小4でも知っていますが、静岡県と山梨県の県境にあることは知っておきたいですね。
山梨県の扇状地が広がる甲府盆地ではぶどう・ももの栽培がさかんという一文で、おおよそ入試に出る山梨県をすべて説明することができるので一気に覚えてしまいましょう。

岐阜県・新潟県は漢字が難しいです。ここ数回繰り返していますが、小4でも都道府県を漢字で覚える必要が出た現在、このあたりも漢字で覚えなくてはならないのは厄介です。
新潟県で意外と覚えておきたいのは上越新幹線です。新幹線の名前を聞く問題での登場頻度が高いので覚えておくと便利です。

北陸は冬に雪が降り農業ができないので伝統工業(地場産業)が盛んになりました。
富山県…薬
石川県…輪島塗・九谷焼
福井県…越前和紙

このあたりを覚えておけるといいですが、工業は5年生でも学習する単元で、今回は写真などイメージしやすいものが掲載されていないので無理はしなくてもいいかもしれません。むしろ、石川県では三名園の1つ、兼六園が写真で掲載されています。この先、意外と兼六園を覚える機会はないのでここで覚えてしまいたいですね。

全体として、「ふるさとじまん」の単元は写真で掲載されている内容をまずは覚えるようにすると子どもたちもイメージしやすいのではないかと思います。


予習シリーズ社会解説 「5年下第2回 古墳時代・飛鳥時代」

予習シリーズ第2回では古墳時代・飛鳥時代が取り上げられています。時代でいうと、3世紀末から7世紀にかけてです。もともと、古墳時代と飛鳥時代は一つの時代ですが、現在では推古天皇即位以降を飛鳥時代と分けるのが一般的です。

古墳時代は「空白の4世紀」という言葉があるほどわかっていないことが多く、出題されることが限定される時代です。前方後円墳埴輪といったキーワードの出題頻度が高くなります。ちなみに埴輪は漢字指定されることが少なく、ひらがなで書いてもほぼ大丈夫です。
日本最大の古墳である大仙古墳(大阪府)はもちろん重要ですが、同じくらい稲荷山古墳(埼玉県)も重要です。稲荷山古墳から出土された「ワカタケル大王」と刻まれた鉄剣の存在により何がわかるかという記述問題は定番です。「5世紀当時のヤマト政権の勢力が関東地方まで伸びていたこと」が正解になります。当然、稲荷山古墳は埼玉県というのも重要です。
ちなみに、ヤマト政権は大和と漢字で書かずにカタカナで書くのが近年のスタンダードです。これは、律令政治以降の大和と区別するためですが別に漢字で書いても大丈夫です。ひらがなで書くと不正解になる可能性があるので一応注意しておきましょう。ヤマト朝廷という言い方もしますが、最近では「政権」「王権」のほうが一般的なようです。

渡来人も古墳時代を代表するキーワードです。渡来人から伝わった技術・文化は多岐にわたるので、すべて覚えるのは大変です。どちらかというと、渡来人から伝わったもの「ではない」ものを選ぶ問題が出題されます。パターンとしては、伝わったのは弥生時代の稲作か平安時代に日本独自に成立したかな文字を選ばせる場合が多いです。

聖徳太子飛鳥時代は何といっても聖徳太子中大兄皇子です。聖徳太子は冠位十二階と憲法十七条が定番ですね。憲法十七条は豪族に対して役人としての心構えを示したものですが、正誤問題で「農民に対して心構えをしめした」といったようなひっかけパターンが頻出です。
遣隋使は皇帝におくられた手紙を史料にして、中国と対等な立場での外交を目指したという記述をさせる問題が出題されます。なお、聖徳太子は厩戸皇子という表記をすることが増えつつありますが、中学受験では聖徳太子で大丈夫なので、授業ではあえて厩戸皇子という表記は板書をしません。
聖徳太子といえば法隆寺というぐらい法隆寺も頻出です。受験直前では絶対に正解する問題でも小5生には新しい知識であることは教える側として意識しておく必要がありますね。

中大兄皇子といえば大化の改新です。大化の改新は基本知識ですが、これで一気に改革が進んだわけではないことが現在の研究では明らかになっています。入試では大化の改新以上に、百済を支援するために唐・新羅と戦い敗れた白村江の戦いと、その後中大兄皇子が天智天皇に即位したことが重要です。中大兄皇子=天智天皇ですが、大化の改新を行った人物で天智天皇と書くと不正解になるので注意が必要です。また、気がついたら中国の王朝が隋から唐になっているのも触れておく必要があります。
天智天皇の死後おきた壬申の乱で勝った天武天皇も重要です。また、最近の研究で藤原京の規模が想像されていたものより大規模だったことが判明しており、その時の天皇だった持統天皇の出題頻度も上昇しています。持統天皇は初めて上皇になった人物としても注意が必要ですね。


予習シリーズ社会解説 「4年下第2回 ふるさとじまん(2)~関東地方~」

第2回は日本の中心地である関東地方です。

関東地方についてよく聞かれるのが「東京都の県庁(都庁)所在地をどう書けばいいか」という問題です。予習シリーズにはこう書かれています。

東京23区は、一つの都市と考えられています。都道府県庁所在地は、都市名で示すため、都庁所在地は東京と示されます。

ただ、東京都庁自体は新宿区にあるためテキストによっては都庁所在地を新宿区としてある場合もあります。東京都のウェブサイトをみると

  1. 都道府県庁の位置は、条例でこれを定めるよう、地方自治法で定められている。
  2. 東京都では「東京都庁の位置を定める条例」により、東京都新宿区西新宿二丁目と定めている。

これを見ると、法的には東京都の都庁所在地は新宿区ということです。異なる答えが2つあり、学校のテストだと教科書の表記や、学校の先生の指導通りの答えを書かないと不正解になってしまうことがよくあります。ウェブで検索しても、この質問はよくされていますね。入試社会の観点では「東京都の都庁所在地を問う問題は絶対出題されないのでどっちでもいい」です。入試では、できるだけ複数の解答が出る微妙な問題は作りたくありません。東京都の都庁がある区を答えさせる問題が首都圏の入試で出題される可能性はありますが、それ以外では無視してもいい内容です。

むしろ、他の都道府県の県庁所在地が重要です。まず、群馬県・栃木県・茨城県の北関東勢です。東京のテレビではディスられることが多い地域ですが、実のところ人口や産業といったデータを見ると、勢いのある都道府県たちです。すべて県庁所在地が県名と異なり、場所も混同しやすいので、意識して覚える必要があります。
あと、要注意は神奈川県です。関東地方在住の人には意外かもしれませんが、神奈川県の印象はものすごく薄いです。なぜなら、横浜のイメージが強すぎるからです。子どもたちは平気で「横浜県」といったりします。

東北地方を学習した後に、関東地方をみると覚える内容が少ないように感じます。関東地方の最大の特徴は「人口が多い」ことです。小4段階では面積・人口の数値を使った問題は出題されず、その都道府県に関するキーワードを覚える作業が中心になります。また、工業は小5で学習する内容なので、この段階では伝統的工芸品に触れる程度です。
東京都…首都
神奈川県…横浜港
埼玉県…市の数が日本一
千葉県…成田国際空港
茨城県…水郷
栃木県…日光東照宮
だけで、今回は事足ります。例外は群馬県で、からっ風屋敷森嬬恋村(ちなみに嬬は無理に漢字で覚えなくても今はいいです)と高原野菜、こんにゃくいもと覚える要素が多いですね。


予習シリーズ社会解説 「4年下第1回 ふるさとじまん(1)~北海道・東北地方」

東北地方予習シリーズ4年下の社会では、まず都道府県名と都道府県庁所在地、そして都道府県ごとの特徴を学習します。

新しい学習指導要領では4年生のうちに都道府県に使われる全ての漢字を学習することになりました。都道府県名に限らず、地名・人名は特殊な漢字や読み方が多いので、思った以上に覚えるのが大変です。書き順を含めて、きちんと学習をしてくれるというのは大きなプラスといえるでしょう。逆に言うと、中学受験の勉強として考えたときに「都道府県名は早い段階で漢字で書けて当然」という傾向が強まるともいえます。以前なら、この時期は都道府県名を覚えればまず十分ぐらいに考えていましたが、これからは「都道府県名と県庁所在地が違うところを覚える」というのがまず第一目標になります。

このとき、札幌市を「札ぽろ」と書く生徒が多いのですが、「札幌」は2文字で「さっぽろ」と読みます。基本的に、地名・人名は漢字かな交じりは不正解になる危険が高いと考えて下さい。札幌のばあい「幌」ばかりに気を取られていると、「礼幌」と書いていたりするので、注意が必要です。

カラーの写真資料が豊富なのが、予習シリーズの強みの1つです。東北地方は、青森県のねぶた、秋田県の竿灯、宮城県の七夕という東北三大祭りがすべて写真入りで紹介されています。地域ごとの祭りはイメージがしにくいわりに出題されやすい内容ですので、ぜひここで覚えておきたいですね。なお、社会科では「ねぶたまつり」という風に「まつり」とはつけないのが、一般的です。

あとは、世界遺産や日本三景、三大急流が登場しています。世界遺産は、まず自然遺産はここで覚えてしまいたいですね。東北地方では、北海道の知床、秋田県と青森県の県には、ぶなの原生林で知られる白神山地があります。日本三景である松島も写真があるので、授業ではどういったものなのか必ず確認させます。
日本三大急流の一つである最上川は川の中でも出題頻度の高い川です。最上川から庄内平野と上流でおうとうの栽培が盛んというのは定番です。

学習を深めるページではアイヌが登場します。実のところ、入試ではアイヌという言葉さえ覚えておけば十分ですが、先々のことを考えると、異なる文化を尊重することの大切さには触れておきたいところです。


予習シリーズ社会解説 「5年下第1回 旧石器時代・縄文時代・弥生時代」

5年生は夏休みまで続いた地理の学習が終わり、歴史の学習に入ります。歴史の授業で気を付けないといけないことは「歴史は生徒によって授業が始まる前の段階で学力に関係なく知っている度合いに差がある」ということです。歴史に全く初めて触れる子どももいれば、歴史マンガなどを読んでいろいろ知っている子どもと大きな違いがあります。学力が低い生徒でも歴史は好きということも多々あります。
割と自分の持って居る歴史知識を喋りたい子どもは多いですが、断片的に知識を持っていてもうまく説明できるわけではないので、塾講師としては適度に打ち切らせることも必要です。

歴史の学習はまず「歴史のものさし」を確認するところから始まります。つまり、西暦・元号・世紀の3つです。ここでは、世紀が重要です。世紀は
1~100年…1世紀
101~200年…2世紀
ということを話したうえで、千百の位の数字に+1したものが世紀になるという説明をします。701年なら8世紀、1867年なら19世紀といった具合です。このあと、具体的な年号を出して発問をします。
この中で必ず聞く年号は「1600年」です。印象付けのために授業の中で間違えることを前提にする発問というのがたまにありますが、これはその1つです。世紀を答える場合、下2ケタが00の場合は千百のくらいの数字に+1をしません。1600年は16世紀です。この発問をする対象生徒はクラスの中でも比較的賢い生徒にします。一瞬迷いがあって、16世紀と答える生徒は大体勘がいいですね。
歴史の最初のテストでは何世紀かを答えさせる問題が出題されますが、出題率が最も高いのがこの1600年です。下2ケタが00のうち、1600年は関ケ原の戦いがおきた年として重要な年号だからです。

おまけですが、定番のネタとして「じゃあ、2112年は何世紀?」と発問します。正解は22世紀ですが、ここでさらに「では、2112年9月3日は何の日?」と聞きます。子どもたちはえっ!?となると、こっちのものです。正解は「ドラえもんの誕生日」です。ついでに、ドラえもんの身長・体重・胸囲が129.3cm(kg)というと確実に笑いが取れます。

旧石器時代から弥生時代は覚える内容はそれほど多くありません。重要なことは、各時代の名前と特徴、そして遺跡の名前と場所を覚えることです。表にするとこうなります。

時代名 特徴 遺跡名
旧石器時代 打製石器 岩宿遺跡(群馬県)
縄文時代 縄文土器、狩りや採集 三内丸山遺跡(青森県)
大森貝塚(東京都)
弥生時代 弥生土器、稲作と金属器
ムラやクニの発生と土地をめぐる争い
登呂遺跡(静岡県)
吉野ケ里遺跡(佐賀県)

遺跡は必ず都道府県まで覚える必要があります。授業では「群馬県で生産がさかんな高原野菜って何だっけ?」といったように地理の発問をいれるようにしてますね。

後半では中国の歴史書から見た日本について記述があります。この辺りになると漢字も多く少し難しいところですが、日本と中国の同時代史(卑弥呼のころの中国の国名は?といった問題)は頻出なので、必ず触れます。ここのポイントは、金印に刻まれている文字が「委奴国王」なので中国は(後)漢、卑弥呼のことについて書かれている歴史書は志倭人伝だから魏と別の知識と関連付けさせる作業です。関連付けさせても、できない生徒は多いのでそこは何回も学習する中で定着していくものと割り切っています。


中学生向け地理・歴史復習用の教材レビュー

塾の先生前回、中3の夏休みに中1・2の頃の教材に戻って地理・歴史用の復習するのはやめるべきと書きました。今回は、せっかくなので書店で購入できる中学生向け地理・歴史復習用教材のレビューをします。イメージとしては、塾に通っていない中3生が自宅で学習するに当たって適切な教材はどれかを基準としました。
なお、正直なところ、大抵の進学塾では中3の夏期講習で中1・2の復習をする講座があるはずです。そうした講座を受ける場合は専用の教材があるはずなので、それをしっかりやることが優先です。

まず、一番のおすすめから。

中1・2年の社会総復習

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各出版社「10日でできる」や「7日でできる」といったようにお手軽に中1・2の復習をできる教材を出版しています。その中では、新興出版社の教材がお勧めです。自分でお勧めといっておいて何なのですが、新興出版社は数学の教科書の大手、啓林館のグループで完全に理系のイメージなんですよね。社会の教材でここがでてくるのはちょっと意外ではあります。
まず、基本の穴埋め問題があって、同じ単元の練習問題がついていて、最後にまとめテストがついています(ちなみに、大体どの出版社の短期間で復習できる教材はこのスタイルです)。
個人的にこれをお勧めしたのは付属している「持っ得シート」の存在です。下敷きのような形で一枚両面で地理歴史のまとめが載っています。これの歴史が便利で、日本と世界の同時代史がコンパクトにまとめられています。高校受験の歴史で一番ネックになるのは日本と世界の同時代史なので、これは便利です。
ただ、お手軽系のまとめ教材はお手軽なだけに楽なのですが、実戦力がこれだけでつくかというとそれは難しいです。

家だけで受験対策をするということならば、もう1冊これをお勧めします。

高校入試 超効率問題集 社会

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難関入試用の教材「最高水準問題集」シリーズでおなじみの文英堂の教材です。厳密には夏休み向け教材ではないため公民も掲載されていますが、出題頻度と正答率が問題ごとに掲載されていて、実戦向けの問題演習のとっかかりとして最適です。 思考力を問う資料の読み取り問題があるのも好ポイントです。
実は、文英堂も「10日でできる」系の教材を発行しているのですが、現物を見られなかったので今回は割愛しています。

社会に2冊もやっていられない場合はこちらがお勧め。

中1・2の総復習 社会 〔2013〕―高校入試 (完全攻略シリーズ)

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塾用教材も手掛けている文理の教材です。一問一答形式の基本問題→テーマごと標準問題と問題が設定されています。オーソドックスな作りですが、夏休みにやり切れる量だと思います。

最後に紹介するのはこちら。

中1・中2の完全復習 社会 改訂版 (東進ブックス 高校入試)

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映像授業でおなじみ東進の教材です。14単元に地理・歴史をまとめています。穴埋め形式の問題集ですが、このテキストのポイントは穴埋め問題で書き込む部分とは別に赤字で書かれた部分があり、付属の赤いシート(暗記用によく使われるものです)を使うとその部分を問う別の問題になるしくみになっています。社会科の授業で演習をする場合、解答だけではなくその周辺知識を発問で確認するのは、私自身も必ず行う基本スタイルです。それが、教材としてシステム化されているのはすばらしいです。
すばらしいのですが、そのあとの実戦問題も答えを赤字で確認するスタイルになっていて、解説が甘いんですよね。純粋にまとめ用の教材としてはお勧めできるのですが。

トータルとしては新興出版社「中1・2の社会総復習」をさらっとやって文英堂「超効率問題集社会」に進むのがお勧めです。


予習シリーズ社会解説 「6年上第17回 現代の日本と世界」

お金大好き予習シリーズ社会の新しい単元もこれが最後になりました。経済・国際社会・宗教と盛りだくさんな内容で、中学3年生で学習する内容が重なります。一度に複数の単元を学習ので、中3ほどの深入りは禁物です。

最初に、生産と消費という経済の基本について書かれています。ここの内容はサラッと済ませましょう。お金のはたらき「価値の基準」「交換の手段」「価値の貯蔵」というのは社会科ではおなじみの内容ですが、小6では暗記することではなく、なんとなく理解するという姿勢が必要です。授業では、物々交換の時代の話をしていかに不便だったかというところから考えさせます。

需要量供給量は、需要曲線や供給曲線といった中学校の内容に深入りするとドツボに入ります。みんながその商品を欲しいと思ったら(需要量が増えたら)、値段はどうなる→上がるという程度の理解で十分です。ついでに、ここで物価が上がる=インフレであること、物が売れているということは景気が良いというところまで一気に説明したほうがスムーズです。

銀行(金融機関)はどの生徒も知っている名前ですが、みんなから集めたお金を貸し付けて経済をまわし利子の差で利益を上げるということは分かっていませんので説明する必要があります。100万円預かったお金を貸して、110万で返してもらい、預かった相手に101万で返すと9万円残って、これが銀行の利益になるという数字を出して説明します。
日本銀行の3つの役割「発券銀行」「政府の銀行」「銀行の銀行」は暗記です。

子どもたちは不景気という言葉は知っていても、不景気になるとどうなるかは意外とわかっていません。まず、不景気とは物が売れない状態であることを確認します。そして、物が売れない=企業はもうからないから、給料が下がる。失業者は増える。会社はつぶれる。という一連の流れを確認しておきます。そして、景気対策の話になるのですが、基本的に景気対策で出題されるのは不景気の時の対策です。
・公共事業を増やす
・減税を行う
・金利を引き下げる
という3点セットですが、テストでは「増税だっけ、減税だっけ」と混同しがちです。基本原則として、お金がないから不景気になるので景気対策=お金をみんなにまわすことであるという認識を持たせています。そうすると、仕事を増やすために公共事業は増やしますし、お金を借りやすくするために金利を下げるという知識につながります。

プラザ合意→バブル景気と崩壊→失われた20年という現代経済の流れは深入りすると危険です。確認をしておきたいことは、長期的に日本は円高であること=輸出産業が大変だったこと、非正規雇用が増加しており格差の問題が広がっているということです。

ここで話がガラッと変わって戦後の国際紛争の話になります。授業の前半でどれだけ時間がかかったかで、ここにどれだけ時間が使えるか変わるのですが、確実に触れるのは冷戦終結と1991年湾岸戦争と2003年イラク戦争です。
1989年 ベルリンの壁崩壊。マルタ会談で冷戦終結
1990年 ドイツ統一
1991年 ソ連解体
という平成初期の国際情勢の並べ替えは頻出です。ちなみに、最近の入試ではソ連の指導者ゴルバチョフが意外と出題されているので上位向けに覚えておくとよいです。

湾岸戦争とイラク戦争は両方ともイラクがかかわっているために子どもたちは混同します。ところが、教えている側である大人は湾岸戦争はインパクトが強い出来事だったため明確に覚えているため混同しません。このギャップは危険で、子どもたちは湾岸戦争はおろかイラク戦争のときも生まれていないということを前提に話をしないといけません。イラクがクウェートに侵攻してはじまったのが湾岸戦争です。

あとは、最近の入試でイスラム教関係の出題が増えています。開祖ムハンマド、聖地メッカに1日5回礼拝をする、豚肉をたべない、ラマダーンという断食月があるといったことは押さえておきたいです。最近では、空港などの公共施設に礼拝用のスペースを設置することも増えていますね(関西国際空港の祈祷室)。


予習シリーズ社会解説 「5年上第18回 北海道地方・日本のおもな都市」

北海道北海道といえば農林水産業です。都道府県別の食料自給率が約200%という日本の食糧庫の呼び名にふさわしい生産量です。そのまま、北海道は食料品工業がさかんであるという知識に直結します。都道府県ごとに盛んな工業をグラフ化してどの都道府県かを答えさせる問題で北海道は定番ですね。

石狩平野・上川盆地…石狩川・稲作の品種改良
十勝平野…じゃがいも・てんさいなどの輪作による畑作
根釧台地…酪農・濃霧

といったあたりはセットで覚えておきたいところです。輪作は4年生で学習している用語ですが、もう一度説明する必要があるでしょう。
授業では話すのは、そもそも稲というのは熱帯の植物であるということです。日本は温帯ですが、夏は高温多湿なので熱帯の作物である稲の栽培に適しています。しかし、北海道は温帯を通り越して冷帯です。熱帯の作物を冷帯で育てているんだというと結構驚きます。

北海道の酪農は大消費地から遠いのでバター・チーズなどの乳製品に加工されるというのも記述の定番です。

漁業では釧路港でしょう。釧路港はかつては日本一の漁獲高を誇っていましたが、いわし漁の不振や北洋漁業の衰えで現在は有力港の1つという位置づけです。この説明をすると、北海道の漁業が衰えたと勘違いする子どもがいるので注意が必要です。都道府県単位では現在もぶっちぎりで北海道が1位です。

北海道は、明治時代になってから和人により開拓が進んだという歴史があります。蝦夷地という言葉は必ず覚える必要がありますが、この段階で漢字で書ける必要はありません。「えぞ地」でいいです。先住民であるアイヌも絶対に覚えなくてはなりません。

北海道を訪れる外国人観光客の割合のグラフは上位であれば押さえたいです。台湾が多いのですが、そもそも台湾がどこにあるかということです。台湾の立地を知ると、なんとなく北海道が人気の理由が見えてきます。雪を含めた広大な自然です。

北海道地方は北海道だけでは量が不足することもあり、日本のおもな都市を確認する単元が入っています。子どもたちには、新しい内容がでているわけではなくこれまでのおさらいだということを強調します。
まず、人口の多い都市ですが、1位東京、2位横浜、3位大阪、4位名古屋、5位札幌までは順位で覚えておきたいです。今どき、順位を完全に覚えておかないといけないような問題は出題されませんが、市で一番多いのが大阪ではなく横浜であることは重要でしょう。

いわゆる百万都市の中でここで確認したいのが、川崎市です。百万都市の中で唯一県庁所在ではなく、札幌とともに新幹線の駅がない都市です。石油化学工業と鉄鋼業がさかんな都市としても出題されますし、東京湾アクアラインと覚えるポイントのおい都市です。神奈川県は川崎市の他に相模原市と唯一政令指定都市が3つある都道府県として、覚えておく必要があります。

以前と比べて、政令指定都市の数も増えてきたので、覚えるのが大変になってきました。政令指定都市として感覚として分かっているといいことを並べておきます。
・東北地方は仙台だけ
・北関東(群馬・栃木・茨城)にはない
・本州日本海側は新潟だけ
・3つあるのは神奈川
・2つあるのは静岡、大阪、福岡
・四国にはない
・岡山と熊本が政令指定都市
といったあたりです。政令指定都市であるかないかは重要なポイントではあるので少しずつ覚えるようにしていきたいです。