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中学入試プレイバック2019 「武蔵中学」

まずは、基本データから。1964年に約12万人だった日本人の海外旅行者は、1972年に100万人を突破し1979年には約400万人と約30倍と驚異的な伸びをしています。さらに、バブル末期の1990年に1000万人を突破、近年は伸びなやんでいるものの約1600~1800万人という多くの人が海外に出かけています(といいながら、この文を書いている私は海外旅行経験ゼロです)。

入試問題の記述問題を答えるポイントはできるだけ自分の持っている知識で勝負することです。極端な話、「日本の経済が発展し、日本人に海外旅行に行く余裕が出てきたから」で正解ではないにしろ、点数はもらえます。ここで注意すべきは「高度経済成長」という言葉を下手に入れないことでしょう。高度経済成長は1973年石油危機により終了しており、1970年代後半には関係がありません。ですので、1970年代以降に増加している根拠で高度経済成長を書くのは危険です。とはいえ、JTB総合研究所が出しているデータを見る限り、海外旅行に関して石油危機の影響は少なかったように見えます。

海外旅行というと、景気同様に大きな影響を受けるのは為替です。円高になると円の価値が上がり、海外の商品を安く感じられ買いやすくなる、つまり輸入や海外旅行に有利になります。

世界は戦後、ブレトンウッズ体制とよばれるアメリカを基軸通貨とした固定相場制をとってきましたが、1971年のニクソンショックを受け変動相場制に移りました。1ドル360円で固定されていた為替相場は、1ドル308円で固定されたのち、変動相場制へと変わりました。これ以降、円とドルの関係は円高ドル安に進んでいきます。

ブレトンウッズ体制や変動相場制はともかく、円高が進んだという話は、それにより輸出産業にダメージを受け海外移転が進んだという話は受験生にとって既知の知識です。これと経済成長を組み合わせれば正解に近づきます。記述問題としては何とか取りたいレベルの問題です。

答:日本の経済発展が進み海外旅行をする余裕が出てきたことと、円高が進み海外旅行がしやすくなったため。


入試に出る歴史上の人物 「芥川龍之介」

標準
芥川龍之介大正時代を代表する作家で、「蜘蛛の糸」「羅生門」などの作品が代表作の人物が芥川龍之介です。

優れた純文学に贈られる賞である「芥川賞」は芥川龍之介からきています。中学校の教科書では太字で重要人物として紹介されることが多いですが、中学入試では完全に国語の文学史で出題される人物です。

読み:あくたがわりゅうのすけ
時代:大正時代(20世紀初期)


入試に出る歴史上の人物 「横山大観」

発展
明治から大正にかけて、日本画の近代に大きく貢献し「無我」「生々流転」などの作品で知られる画家が横山大観です。

定期テストなどで出題される人物ですが、ほぼ作品の写真とセットで出題されるはずです。必ず、教科書・資料集で確認しておきましょう。

読み:よこやまたいかん
時代:明治後半・大正時代(20世紀初期)


入試に出る城

先日、原城を取り上げたときにふと思いついたので、入試に出る城をまとめて紹介したいと思います。入試で登場する城は大きく2つに分けることができます。1つは「城そのものが出題される」場合、もう1つは「ある城を中心とした城下町」として取り上げられる場合です。

1.単体で出題される城

姫路城(兵庫県)
基本
日本で初めて世界文化遺産に登録された建造物の1つが姫路城です。桃山文化の代表的な建造物で雄大な天守閣ももちろんですが、天守周辺の構造物も多く残されています。その美しい姿から「白鷺城」とよばれます。受験に登場する城としてはぶっちぎりの1位でしょう。兵庫県にあることがよく聞かれます。

安土城(滋賀県)
基本
織田信長が琵琶湖のほとりに建造した城として入試で出題されます。信長の死後、安土城は焼けてしまっており、現在は石垣などが残されているだけです。

大阪城(大阪府)
基本
豊臣秀吉が天下統一と前後して建造したのが大阪城です。
大阪城は1615年の大坂の陣で焼失、江戸時代に作り直されましたが、幕末に焼失。現在残っているのは昭和初期に再建されたものです。大阪は城下町であると同時に、蔵屋敷の集まる「天下の台所」として栄えた商都でもあります。
応用
大阪城は一向宗の拠点だった石山本願寺の跡地に建設されました。

江戸城(東京都)
基本
徳川家康によって建造された江戸幕府の中心地です。江戸は「将軍のおひざもと」として、人口100万人を超える当時としては世界最大級の都市でした。
重要
戊辰戦争では幕臣である勝海舟と新政府軍の西郷隆盛による和睦で無血開城が行われています。
応用
1657年におきた明暦の大火で江戸城の天守閣は焼失し、それ以降も再建されませんでした。明暦の大火は入試でもたまに出題されます。

熊本城(熊本県)
重要
城づくりの名人といわれた加藤清正によってつくられた名城です。明治時代最大の士族の内乱である西南戦争では激戦が繰り広げられました。2016年熊本地震で大きな被害を受け、現在修復工事が進んでいます。皮肉ではありますが、地震で大きな被害を受けたこと自体が入試で出題されるポイントの1つです。

首里城(沖縄県)
重要
琉球王国の王城です。「琉球王国のグスク関連遺跡群」として世界文化遺産に登録されていますが、主要な建物は戦後再建されたものです。

名護屋城(佐賀県)
応用
豊臣秀吉の朝鮮侵略において拠点となった城です。現在は城跡のみ残されています。城の名前を記述する問題はまず出題されませんが、記号選択や都道府県を答える問題が出題されたことがあります。愛知県の名古屋城と漢字が違うのは注意ポイントです。

五稜郭(北海道)

応用
1868年から起きた戊辰戦争の最後の戦いが行われたのが、函館にある五稜郭です。当時のヨーロッパの城郭の特徴を取り入れた城です。

多賀城(宮城県)
発展
ヤマト政権が蝦夷討伐のための拠点としてつくられたの城です。ややマニアックではありますが、中学校教科書には、資料として名前は出てきます。

小田原城(神奈川県)
発展
戦国時代、北条氏の拠点となった城です。1590年、この城を攻略したことで豊臣秀吉は天下を統一しました。

二条城(京都府)
発展
「古都京都の文化財」に含まれる城の1つです。1867年徳川慶喜が大政奉還を行った城として知られています。

原城(長崎県)
発展
島原天草一揆の拠点となった城です。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成要素の1つとなっています。

2.主要な城下町

仙台(宮城県)
重要
伊達氏の城下町として栄え、「杜の都」とよばれます。東北三大祭りの七夕も有名です。空襲などで焼失したため、建物はほとんど残っていません。

金沢(石川県)
重要
「加賀百万石」といわれた前田氏の城下町として栄えました。三名園の1つである兼六園があり、加賀友禅・九谷焼などの伝統的工芸品も入試の常連です。

名古屋(愛知県)
重要
御三家の1つである尾張藩の城下町として栄えました。名古屋は東海地方最大の都市であり産業都市として発展しています。
金のしゃちほこで有名な名古屋城は、空襲で焼失。戦後に再建されました。現在、空襲で焼失する前の資料をもとに木造による再建工事を行っています。

松本(長野県)
標準
数少ない天守が現存する城の1つです。夏・冬の気温差が大きく降水量が少ない中央高地の気候(内陸性の気候)の典型的な雨温図として松本市のグラフが使われることが多く、長野県の都市と知っておくと便利です。


中学入試プレイバック2019 「渋谷教育学園幕張中学」

塾の授業というのは、どうしてもテストで点数が取りやすいように支障のない範囲内でデフォルメをして教えることがあります。この問題で取り上げられている国風文化はその1つです。平安時代の文化を大きく分けると、まず、最澄・空海が遣唐使として学び日本に伝えた天台宗・真言宗などの新しい仏教が平安初期にあります。この2人は平安京をつくった桓武天皇と同時代の人物です。それに対して、この問題で取り上げられている国風文化の代表的な人物である「源氏物語」の紫式部藤原道長の娘、中宮彰子に仕えており道長と式部は同時代人物になります。その間を分けるのが、894年菅原道真が提案した遣唐使の廃止です。
テストで恐れるのは、最澄・空海を藤原道長と同時代だと思ってしまうことです。同じ平安時代ですが、200年ほど違いがあり同じ時代でカテゴライズすることはできません。そのため、遣唐使の停止以降に国風文化が栄えたという表現をしてしまいます。遣唐使の停止によって党との交流がなくなったわけではありませんし、1つの出来事だけで文化が変わるということはまずありません。徐々に変わっていくものです。ただ、授業の説明としては分かりやすさというのを重視して説明するのは当然です。実際に予習シリーズや中学校の教科書では、上の問題のように、最新の研究結果を踏まえて修正されています。

遣唐使の停止によって中国との正式な国交はなくなりましたが、民間の交流は活発だったため、日本は、その後も中国文化の影響を受け続けました。
9世紀後半ごろからは、唐の文化を土台にして、日本の自然や生活にあった文化が生まれました。この文化を国風文化といいます。(予習シリーズ5年下45ページ)

意外と曲者なのが、藤原氏で初めて摂政になった良房、摂政・関白を務めた基経です。藤原氏の中では重要な役割を果たしたのは間違いないのですが、もともと平安時代はボリュームがあり、藤原道長・頼通親子がいるために、なかなかそこまで手が回らないです。ですから、問2は受験生にはXは「良房、基経どっちだっけ」と迷った思います(なお、Yは正しいと分かって当たり前レベルです)。

答:問1 仮名文字は遣唐使が停止される以前から使われていたことが分かり、その時代から国風文化は広がっていたこと分かったから。
問2 ア


中学入試プレイバック2019 「海陽中等教育学校」

愛知県にある全寮制の中高一貫校が海陽中等教育学校です。天下のトヨタを中心に地元財界がかかわる形でできた新しい学校です。去年は3科入試だったのですが、今年は3・4科で選択できるようになり社会科が復活しました。

その年に登録された世界遺産は出題される法則通り、潜伏キリシタンに関する問題が出題されてきました。答えの原城跡も世界遺産の構成要素の1つになっており、今年の入試ではほかの学校でも出題されると思います。

潜伏キリシタンがらみで出題されるのは、絵踏・島原天草一揆・天草四郎・寺請制度あたりでしょうか。全ての人がどこかの寺に所属させ仏教徒であることをを証明させる寺請制度はもともと難しめの知識として出題されているので、今年は狙い目ですね。

答:原


入試に出る歴史上の人物 「西園寺公望」

注意
明治末期から大正時代前期に内閣総理大臣を2回務め、ベルサイユ条約では全権大使として派遣された人物が西園寺公望です。

西園寺公望は大正・昭和初期を通じて、「最後の元老」として大きな影響力を持ちましたが、その辺りは出題されません。

読み:さいおんじきんもち
時代:20世紀初期(明治末期・大正時代)


中学入試プレイバック2019 「浦和明の星中学」

…。この間2018年の中学入試プレイバックシリーズをやっていたような気がするんですけど、もう2019年ですか…。一年が早すぎる。
それは、さておき今年もやります。「中学入試プレイバック」。中学入試社会の問題で私たいよーが気になった問題を取り上げていきます。問題全体の難易度や合格ライン、傾向といったことは自分の地元の入試以外は確実なことは言えないので控えることをご了承ください。

昨日、入試に出る歴史上の人物で桂太郎を取り上げた直後に、この入試問題を見てしまったのでこれをとり上げないわけにはいかないです。日英同盟の成立→日露戦争の開始→韓国併合、これ全て桂内閣で起きている出来事なんですよね(日露戦争までは第1次、韓国併合は第2次桂内閣)。これだけ事業をなした内閣なのに中高入試では意外と出ない(高校日本史では基本中の基本人物ですよ、念のため)。あまり言いたくないですが、日本の近現代史の勉強では戦争に勝ったという事実を誇りに思いたくない傾向があります。この時代に、イギリスと同盟を結びロシアに勝ったということは歴史的に見てすごいことなのでもっと桂太郎に光をと思いますよ。

なお、この問題は桂太郎はどうでもよくて、満州国の建国だけが1932年の昭和時代と時期が明らかにずれるのでそれだけで答えられる問題です。
浦和明の星中学の入試を見てると選択肢の中に、受験生が知らない知識を入れておいて答え自体は他で明らかに間違っているものや当てはまるものを入れる傾向がありますね。

答:エ


入試に出る歴史上の人物 「桂太郎」

注意
長州藩出身で、明治末期から大正初期にかけて内閣総理大臣を3度に渡って務めた人物が桂太郎です。3度目に内閣総理大臣になった際、藩閥政治に対する批判が強まり(第1次護憲運動)、桂内閣は約2か月で総辞職しました。
内閣総理大臣の在任期間が最も長い人物でもあります。

護憲運動は第1次・第2次と大きく2回起きていますが、中学入試では区別せず護憲運動とのみ表記することが大半です。日露戦争時の内閣総理大臣で在職1位という実績を考えれば、もっと出題されても不思議はないのですが、中高入試では「護憲運動で失脚した人」として語られるのが不遇です(いらすとやを含めて、桂太郎に当てはまる画像もなかったし)。

読み:かつらたろう
時代:20世紀初期(明治末~大正初期)


予習シリーズ社会解説 「5年下第18回 昭和時代(2)」

いよいよ歴史単元も最終回となります。昭和時代後半では1945年から約30年間の歴史が取り上げられています。ソ連解体こそ触れらているものの現行の予習シリーズでは1978年の日中平和友好条約までが歴史の扱いのようです。

冒頭では1964年東京オリンピック東海道新幹線開通の話と高度経済成長によって電化製品が発達、そして過疎・過密・公害とマイナスの話も含めて一気に取り上げられています。高度経済成長は5年上でも登場している内容なので、ここで「初耳」という顔をするか「聞いたことある」という顔ができるかは大きな違いです。

GHQ(連合国軍総司令部)の民主化政策は、財閥解体農地改革が特に重要です。農地改革の「地主の土地を安く政府が買って小作人に売った」という内容と「小作人が増えて自作農が増えた」という結果はともに記述問題で狙われやすいですね。もちろん、女性参政権が与えられ20歳以上の男女に選挙権が与えられたということも重要です。将来的に子どもたちにとって選挙権(成人)=18歳が定着すると、この段階では20歳というのをしっかり覚えさせる必要が出てきますね。

日本国憲法は公布日・施行日ともに重要です。11月3日文化の日、5月3日憲法記念日と祝日になっていることも確認します。子どもたちはたいてい文化の日は出てきません。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という三大原則はもちろん重要ですがここでは深入りはしません。6年生の最初(第1回)で詳しく学習するためです。いつも、その前振りはしますね。
ここまでが、授業の前半です。

後半は冷戦から始まります。資本主義と社会主義の話は簡単にします。「みんながお金儲けをしたくてそれぞれに活動するのが資本主義で、それだと格差が大きくなりすぎるので計画的に生産をしようというのが社会主義」というぐらいの大雑把な説明にとどめます。予習シリーズには出てきませんが、西側・東側という表現は見る機会も多いので教えておきますね。

1948年大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国の成立から、1949年中華人民共和国、1950年朝鮮戦争の流れは並べ替えで登場しますね。中華人民共和国の成立は韓国・北朝鮮より後というのがポイントです。朝鮮戦争では北緯38度で国境が分かれていることは絶対に触れます。現在の朝鮮半島情勢を考えれば、この辺りの出題頻度は高いです。予習シリーズには38度線の停戦ラインの写真が掲載されています。これは、2018年にムン・ジェイン韓国大統領とキム・ジョンウン北朝鮮委員長が会談を行った場所です。この会談がいかに大きなものだったかを物語りますね。

1951年サンフランシスコ平和条約では、ソ連・中国・韓国・北朝鮮とは講和をしていないこと、同時に日米安全保障条約を調印したことが重要です。吉田茂首相ももちろん出題されます。ちなみに、サンフランシスコ平和条約の条文にある「日本は朝鮮の独立を認める」は、日本を清に変えるだけで「清は朝鮮の独立を認める」という下関条約(1895年)の内容になります。時代の移り変わりを感じますね。
安保闘争・所得倍増計画も予習シリーズに載っていますが重要度は一段落ちます。

1956年に日ソ共同宣言を結び国際連合に加盟したのも当然重要です。1951年やこの後登場する1972年もそうですが、同じ年に重要な出来事が重なっているのが昭和後半の特徴です。

吉田茂と並んで戦後の内閣総理大臣のなかで重要なのが佐藤栄作です。1965年日韓基本条約から1972年沖縄返還まで内閣総理大臣を務めました。予習シリーズではどういうわけか佐藤栄作ではなく、そのあと内閣総理大臣を務め同じ1972年に日中共同声明を調印した田中角栄が太字になっています。非核三原則・ノーベル平和賞と出題ポイントがはるかにおおい佐藤栄作のほうが重要度は高いので、ちょっと謎です。1972年は出題頻度の高い年号で「夏(72)沖縄返還(本当は5月ですが)」という語呂合わせで教えています。

1973年に石油危機が発生して高度経済成長が終わりを告げます。石油危機は5年上第1回の水産業で登場した語句です。1年の最後に、年度の最初に学習した語句が再登場するのは偶然ですが粋ですよね。


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