日本は南北に国土が長く、山地から低地まで多様な土地があります。予習シリーズではこの第9回から、特徴的な地域の学習を進めていきます。最初は沖縄県です。
沖縄県の県庁所在地はご存じの通り那覇市です。県名や県庁所在地を漢字で書くのは社会の基本ですが、今の段階で那覇を漢字で書かせるのは無謀です。私なら板書でもひらがなで書きます。
この回では雨温図が初登場します。ずっと社会の先生をしていると雨温図は見慣れすぎていて、当たり前にしゃべってしまうのですが子どもたちにとっては初めて見るものです。雨温図の見方を説明する必要があります。グラフの読み取りは意外とできないものです。
雨温図から読み取れるデータは月ごとの降水量と気温です。日本の降水量は年1,700~1,800mmと言われています。ちなみに東京はもう少し少なくて1,500mm程度です。これを12で割ると一か月100mm程度になります。これが、降水量の多い少ないの目安ですね。気温は表にしてみましょう。
季節 |
冬 |
春秋 |
夏 |
気温 |
0~10度 |
10~20度 |
20度~ |
「沖縄は12月ごろに秋が来てそのまま春になる」という話をすると子どもたちは大抵驚きます。
沖縄には台風が良く来るという大人にとっての常識も子どもたちにとっては知らないことです。台風に備えるための家づくりは将来的な記述問題の定番の1つです。
昔 |
家全体を低くつくり屋根がわらをしっくいでとめ、周囲を石垣・林で囲う |
今 |
丈夫なコンクリート製で家を造る |
また、沖縄は雨が降るものの水通しの良い土地で大きな川がなく水不足になりやすいため、屋根の上に給水タンクを取り付けている家が多いのもよく記述で聞かれます。
沖縄の農業と言えば、なんといってもさとうきびです。
沖縄というと、アメリカ軍基地問題を外して語ることはできません。ただし、小学4年生になりたての子どもたちにとってはやや難しい話になってしまうので、下手に深入りするのは禁物です。それでも、「ひめゆり部隊の慰霊碑」「平和の礎(いしじ)」といったあたりは入試でも出てきますね。
総じて、思いのほか入試で記述でも聞かれるような内容の多い重要な単元です。もちろん、この段階で入試を意識して暗記させるとかまで必要はありません。ただ、ゆっくり沖縄県の話をする機会はそうそうないので、教える側はそれを理解しておく必要がありますね。