「 入試問題 」一覧

中学入試プレイバック2018 「早稲田実業学校中等部」

正誤選択の問題はまず明らかに正解、もしくは誤りを探すことから始めます。自信を持って正解と言い切れる選択肢があればベストですが、いつもそういうわけにはいきません。
この問題ではまず外したいのはウ・オです。ウはちょっと笑っちゃいますね。遣隋使と言えば、おなじみ小野妹子ですが、初めて聞いたとき女性と思う人は多いでしょう。小学生時代の私もそうでした。オの鑑真は中国に渡った人物ではなく、中国から渡ってきた人物です。

イはなかなかいやらしいです。遣唐使の初期は朝鮮半島をわたるルート(北路)を使っていましたが、新羅との関係が悪化すると危険な東シナ海を渡るルート(南路)をつかうようになりました。ここまではいいとして、台湾を通ったかまではっきり地図で覚えている生徒は少ないでしょう。ただ、日本周辺の地図を思い浮かべると台湾までいくと大回りすぎるんですよね。実際は、奄美・琉球から唐に渡っています。

最後にエです。ぶっちゃけた話、聖徳太子蘇我馬子の関係がここまで史料からはっきり分かったら日本古代史の記述が変わります。
遣隋使の派遣と言えば607年ですが、中国の歴史書には600年に日本(倭)から使者が来たという記述があります。しかし、当時の日本は法整備が遅れており、中国から相手にされなかったようです。それが、603年冠位十二階、604年十七条の憲法といった取り組みにつながっていったと考えられています。この文は、大胆にみてきたような嘘をついた面白さがありますね。

対等外交を求めてきた倭に対して隋は快く思わなかったものの、高句麗遠征などで疲弊していた隋に事を荒立てる力がなかったというのは意外と有名な話です。難易度としてはそこそこで、偏差値70に迫る学校に合格しようと思ったらここは取っておかなくてはいけない問題でしょう。

答え:ア


中学入試プレイバック2017 「青山学院中等部」

歴史では大きな功績があったのに後の評価で報われていない人が度々います。その代表格が大久保利通でしょう。幕末、薩摩藩の中心として活動し新政府樹立に貢献、明治維新期の様々な改革を断行した政治家です。ですが、鹿児島で圧倒的な人気のある西郷隆盛と明治に入り対立したことなどから功績に比べて厳しい評価をされがちなイメージがあります。

中高入試においても、大久保利通は難しい。なぜかというと、これといった関連キーワードがないんですよね。たとえば、
坂本龍馬…薩長同盟
伊藤博文…初代内閣総理大臣
板垣退助…民撰議院設立建白書・自由党
西郷隆盛…江戸城無血開城・西南戦争
といったようにその人物を象徴するような用語が大久保利通にはないんです。版籍奉還や廃藩置県、地租改正・殖産興業と間違いなく大事業に関わっているのですが、それゆえにこれと特定しにくく、また、多くの人が関わり大久保の業績と1人に絞ることが難しいものばかりです。長州藩の木戸孝允もその傾向がありますが、「維新の三傑」と称される3人で大久保は「薩摩藩で西郷ではないほう」という授業をしてしまいがちで、申し訳ない限りです。

関東大震災後に東京市長として復興計画に関わった後藤新平は東日本大震災以降の入試問題で復興がらみで出題されることが多くなっているので、ここで取り上げてみました。

答:問1 ③・⑩ 問2 ②

お詫び:当初2017年度入試問題を誤って2018年と表記しておりました。タイトルと画像の年度を修正しています。


中学入試プレイバック2018 「慶應義塾中等部」

 以前「あてはまるものを ”全て”選びなさい」は難易度を著しく上げる 」という記事で

(誤りを選ぶ問題で)全て当てはまる場合を考慮する。これだけで、難易度はかなり上がります。まず単純な確率論では、5択問題になるので正答率は2割になります。解き方の面で考えると、最初の問題と同じように考えようとしたとき、アかエの2択に絞れたものが、オも加えた3択で考える必要がでてきます。

ということを紹介しました。
実際の入試問題での出題例の1つが上の入試問題なのですが、問題としては非常に簡単で、裁判員制度は刑事裁判で行われるので、明らかに2が誤りです。

ただ、問題のつくりが気に入らないです。この選択肢は
「裁判員制度とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、裁判官と一緒に被告人の有罪・無罪や刑罰の内容を決める制度です。」
という正しい文の刑事裁判を単純に民事裁判に変えて誤った文にしています。結果、文章の構成として
「裁判員制度→民事裁判…誤り」
「民事裁判→被告人の有罪・無罪を決める…誤り」
という二重に誤りのある文章になってしまっています。これでは何の知識を確認したいかが、ぼやけてしまいます。裁判員制度は刑事裁判で行われるという知識を確認したいなら
「裁判員制度とは、国民が裁判員として民事裁判に参加し、判決内容を裁判官とともに決定します」
といった風にすれば選択肢としてすっきりします。別にこの文でも受験生は簡単に誤りだと判別することができるでしょう。
これは、あくまで問題を作る側としての発言になってしまいますが、慶應義塾にはその名にふさわしい美しい問題を作ってほしいと思います。

答:2


中学入試プレイバック2018 「フェリス女学院中学」

問題としては別に大した問題ではなく、むしろ正解しないと大きなビハインドを背負う基本問題です。

茶の生産といえば静岡県です。静岡県の牧ノ原(市の名前は牧之原市)で茶の栽培がさかんというのは基本中の基本。牧ノ原で茶の栽培が始まったのは明治時代。江戸幕府の家臣が中心となって開拓を行ったのが、そのきっかけです。

鹿児島県は温暖な気候を生かして、新茶を4月ごろに出荷することできます。また、作業の機械化が進んでおり、静岡県が16,300haで31,800tを生産しているのに対し、鹿児島県は8,020haで22,700t(ともに平成27年)を生産しており、効率化が図られていることがわかります。公益社団法人鹿児島県茶業会議所のサイトのデータを見れば分かるように、かつては数パーセントしかなかったシェアが現在では3割近くに伸びていることが分かります。近い将来、茶の絶対王者・静岡県をとらえる日が来るのかもしれません。

答:ア


中学入試プレイバック2018 「駒場東邦中学」

歴史の学習でどの程度年号を覚えるべきかというのはいくつか意見があります。実のところ、年号を答える問題は入試問題で出題されて1問です。ですので、並び替え問題を正確にするために覚えておくべきという意見もあれば、最低限覚えておいて流れで把握すればよいという意見もあります。私自身は後者です。中学入試の問題では年号そのものを問うというより、年号をヒントに答える問題のほうが主流ですね。

そんななかでも、確実に覚えておきたい年号の1つが1904年日露戦争です。1894年日清戦争→1904年日露戦争→1914年第一次世界大戦という10年おきの戦争三連発は年号を理解するうえで定番の1つといえるでしょう。

1905年といえば、日露戦争の講和条約であるポーツマス条約を調印した年です。日露戦争では多くの戦死者を出し、多額の費用がかかったという知識は基本なので、そのための専売と判断できればそれほど難しい問題ではありません。

むしろ、塩の専売が1997年まで続いていたことに驚きます。公益財団法人塩事業センターのウェブサイト「塩百科」が詳しいですが、それだけ塩の安定供給は生活のために必要だったということです。

答:日露戦争を続けるのに必要な資金を確保するため。


中学入試プレイバック2018 「豊島岡女子学園中学」

なかなかレアな問題ですが、落ち着てい考えればノロウイルスが正解だと判断できます。ノロウイルスにワクチンがあって、接種が行われていれば毎年のようにノロウイルスが流行したりはしませんからね。

これはもうなんとなくですが、女子中で医学部合格実績の高い学校として受験生に知ってほしい知識を出題した気がしますね。ちなみに、他の予防接種に関する情報は厚生労働省のサイトからみることができます。半端な知識で話すより専門のサイトを見てもらうのが一番でしょう。

今年はインフルエンザが本当に流行しています。国立感染症研究所のサイトでインフルエンザの流行状況が都道府県ごとにみることができますが、北海道を除いて真っ赤というとんでもない状況です。自校の受験生が受験のタイミングでインフルエンザにかからないかハラハラしていましたが、中学受験では大丈夫でほっとしています。

答:4


中学入試プレイバック2018 「早稲田中学」

憲法改正が現実味を帯びるようになった今、公民のホットワードの1つが立憲主義です。

国の政治権力は強大で、国民の自由をしばることができます。そこで、この政治権力から人権を守り、保障していくために、憲法によって政治権力を制限するという考えが生まれました。これを立憲主義といいます。(東京書籍「新編新しい社会公民」)

以前から、憲法は国の最高法規であり、これを反する法律や規則は効力を持たないことは学習していました。立憲主義という言葉を教科書できちんと習うようになったのは意外と最近です。憲法とは権力者を縛るものであるという考え方を改めて説明する必要性が出てきたということなのでしょう。

最高法規という言葉だけ知っていると、ついエを選んでしまいそうですね。そういうひっかけ狙いでうまく問題がつくられています。

答:イ


中学受験プレイバック2019 「星光学園中学」

まさかのビットコイン登場。仮想通貨という言葉が出題される可能性は考慮していましたが、通貨であるビットコインがでるとは。まぁ、EUの通貨が何かと問う問題が出題されることはよくあるので、ありといえばありですが。
ラ・サール中のときに「プレミアムフライデー」は数年後死語になるから難関中が出題するのはイマイチと言いましたが、「ビットコイン」は予想就かないですね。もっと、大きくなっているかもしれないし、バブルがはじけるかもしれないし、政府が介入するようになっているかもしれないし。

いま、仮想通貨を利用した投機がいたるところで話題ですが、週刊誌やワイドショーで騒がれるようになった頃は、すでにバブルになっているとよく言われます。早いうちに参入して利益を上げた賢い人は利益を確定して現金に少しずつ変えていくのがいいように思いますが。


中学受験プレイバック2018 「栄光学園中学」

それほど大仰な問題ではありませんが、4種類の選挙を全て書き出すというのはなかなか難しかったろうなぁと思い取り上げました。たぶん、知事・市長まではある程度出てくると思うのですが、地方議会が市議会と県議会の両方あるというのが思いつかなそうです。問われている知識はそれほど難しいわけではない分、面白い問題です。

2017年衆議院選挙は宮城県南三陸町で知事選・町長選・町議選が重なり、衆議院小選挙区に比例代表と最高裁裁判官の国民審査で6つの投票箱を用意する事態になったことが話題になりました。

答えには神奈川県・鎌倉市をそれぞれ入れましたが、おそらく書いていなくても正解だと思います。ただ、リード文にわざわざ地名を入れているので、書いておいたほうがいいのは間違いないですね。

大人の立場からみると、改めていろんな立場の人間を選挙で選んでいるなと思いましたね。無投票でなければ、3,4年で6回は投票があるわけですからね。きれいごとではありますが、大事な一票を行使したいものです。

答:A~D 神奈川県知事・神奈川県議会議員・鎌倉市長・鎌倉市議会議員


中学入試プレイバック2018 「雙葉中」

室町時代の文化で絵画といえば、水墨画を大成させた雪舟です。思い切っていえば、社会科においてはそれ以外の人物はいません。雪舟を問う問題をつくる場合は水墨画という語句を使うか、雪舟の作品を資料として載せるのが基本です。

その意味で、今回紹介した問題はそのどちらも使わず「中国から伝えられた絵画の技法」という表現で問いているのが非常に珍しいです。普通に出題すると簡単すぎるからということだと思います。

この出題方法は一定のリスクがあります。それは、答えを雪舟と限定することが難しいことです。他に室町時代に中国から伝えられた絵画の技法を日本風に発展させた画家がいた場合別解が発生するからです。

実は、該当する人物がいます。それは、日本最大の画派とされる狩野派の狩野正信・元信親子です。もっとも、中学受験の勉強をしていて登場する人物ではないので普通答えとして書く生徒はいません。

ただし、もしこの親子の名前を書いても不正解です。それは、問題の最後に「僧」の名前を答えなさい、とあるからです。狩野親子は僧ではありません。よって、この問題の答えは雪舟に限定されます。

答:雪舟