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予習シリーズ社会解説 「5年下第9回 江戸時代(1)」

受験直前の生徒から「何を勉強したらいい」と漠然に聞かれたとき、大体「とりあえず江戸時代を勉強しておけ」と答えます。江戸時代からの出題がない社会の入試問題はない。そう言い切っていいほど、江戸時代は260年間と期間も長く出題することが多いです。予習シリーズでは3回にわけて学習をしますが、どの回もなかなか盛りだくさんです。

関ケ原の戦いは、現在様々な角度から研究が進んでいますが今のところ、徳川家康が石田三成を破ったことを理解しておけば大丈夫です。ただし、豊臣家が滅亡するのは1615年の大坂の陣なのは注意が必要です。

江戸幕府はそれまでの政権と比べて統治の仕組みが細かく整備されているのが特徴です。大老・老中は基本として覚えなくてはいけませんが、これらは「江戸時代(3)」で再度登場します。意外と出題されるのは京都所司代です。町奉行・勘定奉行・寺社奉行のいわゆる三奉行は、ほぼ出題されません。

親藩・譜代大名・外様大名の区別は重要です。親藩・譜代を江戸の近くや要地に、外様は江戸から遠くに配置したことは地図を見ながら口頭で答えさせたいですね。江戸時代は、譜代大名が中心となって政治を進めていた=政治権力を持っていたのですが、権力を持っている分、石高を抑えて権力の集中を防いでいた話なんかはします。

武家諸法度は史料を見て、それとわかるようにしておく必要があります。武家諸法度を定めたときの将軍である徳川秀忠はそこそこ登場する人物です。
3代家光のときに追加された参勤交代は当然ながら頻出です。「将軍の権威を示すため」という狙いも答えられるようにしておきたいです。なお、参勤交代の狙いで「大名の弱体化」と答えるのは厳密には不正解です。最近の研究で、幕府が大名の弱体化を狙って参勤交代を行っていた説は否定されつつあります。ただ、参勤交代が藩財政に大きな影響を及ぼしたことは事実です。上位クラスであれば、参勤交代により街道が整備されたことも触れたいですね。
予習シリーズには載っていませんが、家光は「生まれながらの将軍」といわれ将軍就任にあたって外様大名に対し「これからはあなたたちを家臣として扱う」と話したエピソードが入試問題のマクラで使われることがあります。

鎖国への流れは、まず家康の時代は鎖国するつもりがなく、さかんに朱印船貿易を行っていたことを抑えます。ここで、日宋貿易・勘合貿易・南蛮貿易あたりも口頭で確認したいですね。この辺の区別は大切です。
鎖国への流れは
1624年 スペイン船の来航禁止
1635年 日本人の海外渡航禁止
1637年 島原・天草一揆
1639年 ポルトガル船来航禁止(=鎖国の完成)
という並べ替えができるようにする必要があります。
ただし、近年「鎖国」という表現は江戸時代の実勢にあっていないという説があります。それに伴って江戸時代の外国のとの交流が入試でも重要視されており、学習を深めるページ「鎖国下に開かれた四つの窓口」は重要な項目ばかりです。
長崎…オランダ・清
対馬藩…朝鮮
薩摩藩…琉球
松前藩…アイヌ
という基本は覚えておく必要があります。最近の入試では、日本の先住民に目を向ける傾向があり、シャクシャインあたりの出題頻度は以前より上がっています。また、正式に国交があったのは朝鮮のみで”将軍が代替わりするたびにお祝いの使者として”朝鮮通信使が来たことは最重要です。

5代将軍徳川綱吉は扱いの難しい人です。一言でいえば生類憐みの令ということになるのでしょうが、これまた最近その治世の評価が見直されています。最近の入試で狙われるのは金貨に含まれる金の割合を下げたため、物価上昇がおきたことです。ただし、これも江戸時代に入り貨幣経済が発達したことにより貨幣の量が不足したのが原因という意見があり必ずしも失政とつながらないという説が強くなっています。必ずしも最新の学説に沿う必要はないのですが、上位校であればあるほど、そういった変化に敏感です。
同時に、そのあと統治をした新井白石の重要度は下がっていますね。綱吉の統治の再評価=白石の政治の評価が相対的に低下することになるからです。


中学入試プレイバック2018 「渋谷教育学園幕張中学」

良問が多くて、どれを取りあげようか迷った渋谷教育学園幕張中の2018年入試問題です。


以前、参勤交代の狙いは大名の財政悪化ではなかった話を取りあげました。この問題がよく作られているのは、引用文に基づいて答えを書かせることで史料を読み解く力を確かめながら、新しい学説を問題に使っているところです。

実のところ中学校の教科書でも

大名の参勤(江戸に来ること)は主従関係の確認という意味があり、第3代将軍徳川家光は、参勤交代を制度として定めました。(新編新しい社会歴史 東京書籍)

と参勤交代の目的をきちんと書いています。教科書できちんと書かれていることを定期テストや入試問題で踏まえない例がある中、さすが渋幕と感じさせる問題です。文書のサイズをA版に統一するメリットを問う問題など、初見問題に対する思考力を問う問題が満載で、社会科教師は一度見ておくべきですね。

答 (引用文では)参勤交代にかかる費用を減らすようにとあり、参勤交代の目的が大名の財政を圧迫することならそのような指示する必要はないから。


入試に出る歴史上の人物 「徳川家光」

基本

大名を街道取り締まる法令である武家諸法度参勤交代を制度化したときの将軍が徳川家光です。大名に一年おきに江戸と領地の往復することを制度化したものが参勤交代です。1639年にポルトガル船の来航が禁止され、いわゆる「鎖国」が成立したときの将軍でもあります。

重要

1637年におきた江戸時代最大の内乱である島原・天草一揆がおきたときの将軍でもあります。

応用

徳川家光は将軍に就任したときに、大名に対して「わたしは生まれながらの将軍だから、みなを家来として扱う」といったとされ、史料問題で出題されます。


中学入試プレイバック2017 「雙葉中」

問 参勤交代は大名の力を弱めるために行われました。なぜ大名の力を弱めることになるのか、理由を書きなさい。(2017年雙葉中)

結論から言うと、この問題は表現が的確ではありません。というよりも、ちょっと古い常識でつくった問題と街道いったほうが正しいでしょうか。

昔は、参勤交代は大名が江戸屋敷をつくったり、江戸まで参勤したりする費用を大名にかけさせることで、その弱体化を狙っていたといわれていました。しかし、現在では、あくまでその効果はおまけというか結果としてそうなったというべきで、最大の狙いは大名たちが将軍に挨拶をしに来ることによって、幕府に従っていることを周りにアピールするためだったというのが、近年の有力な説です。最近の学説が反映されていない問題というわけです。

入試問題というのは、一人ではないにしろ数名でつくるのがほとんどのはずです。そうすると、問題内容が古いことや、説明不足な部分がおきることがあるので、そこを補足説明するのも塾の入試問題の解説授業ですね。

答 大名を江戸まで来させることで将軍と大名の上下関係を決定づけさせるとともに、参勤交代には多額の費用がかかるため。


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