「 昼夜人口比率 」一覧

中学入試プレイバック2018 「東海中学」

先日紹介した、昼夜人口比率が含まれているデータを使った問題です。実際の問題では、このあと表中の①・⑤で昼夜人口比率が低い理由を問う問題が出題されています。

さて、この問題ですが大事なことはいきなり②、④、⑤を出そうとせず分かるところから埋めていくことです。まず、①は人口が最も多い県庁所在地ですから当然横浜市になります。
次いで人口の多い②が大阪市、③が名古屋市になります。どちらも昼夜人口比率が高いですね。東海中学というのは名古屋市にある最難関男子中ですので、名古屋市がわざわざ問題になっていないのも納得です。一般の感覚ですと、大阪市より横浜市のほうが人口が多いイメージも持ちにくいかもしれませんが、偏差値60超の志望校を受験する生徒には基本知識です。

④は人口の多い順に札幌市と答えてもよいですが、県外からの通学・通勤者が極端に少ないというのも大きなポイントでしょう。本州から札幌市に航空機で通勤する人は少数と予測できます。しかし、3000人近くもそんな人がいるんですね。ちょっとびっくり。

問題は⑤です。昼夜間人口比率が低いので東京周辺、つまり千葉市かさいたま市までは想定することができるかです。そして、さいたま市は百万都市ですが、千葉市はそうではありません。それをふまえると、⑤はさいたま市になります。

答 ②大阪市 ④札幌市 ⑤さいたま市


昼夜人口比率の高い地域、低い地域

昼夜人口比率とは、その地域に戸籍を置いている人口(夜間人口)に対して、昼間どれだけの人口が流入もしくは流出しているか(昼間人口)を表したデータです。計算は昼間人口÷夜間人口×100であらわされます。100を超えている地域は周辺より昼間に流入している人口が多いことになります。

都道府県別昼夜人口比率(平成27年国勢調査)単位は%

北海道 99.9 三重県 98.3
青森県 99.8 滋賀県 96.5
岩手県 99.8 京都府 101.8
宮城県 100.3 大阪府 104.4
秋田県 99.8 兵庫県 95.7
山形県 99.7 奈良県 90.0
福島県 100.2 和歌山県 98.2
茨城県 97.5 鳥取県 99.9
栃木県 99.0 島根県 100.1
群馬県 99.8 岡山県 100.0
埼玉県 88.9 広島県 100.2
千葉県 89.7 山口県 99.6
東京都 117.8 徳島県 99.6
神奈川県 91.2 香川県 100.2
新潟県 99.9 愛媛県 99.6
富山県 99.8 高知県 99.6
石川県 100.2 福岡県 100.1
福井県 100.0 佐賀県 100.2
山梨県 99.2 長崎県 99.8
長野県 99.8 熊本県 99.5
岐阜県 96.1 大分県 99.9
静岡県 99.8 宮崎県 99.9
愛知県 101.4 鹿児島県 99.9
沖縄県 100.0

見ての通り、東京都の突出した高さが目立ちます。これは、周囲の埼玉県、千葉県、神奈川県から多くの通勤・通学者が東京都に来ているためです。東京都とその周辺の昼夜人口比率は、それだけで地域の特定が可能なレベルで、ここまで特徴的な数値は他の地域にはありません。ちなみに東京都には毎日約250万人という人数が周囲の件からやってきます。
「なぜ東京都は昼夜人口比率が高いか?」という問いに「東京都は昼間に通勤通学でやってくる人が多いから」というのは記述の定番です。

名古屋大都市圏の中心である愛知県も東京ほどではないですが、周囲の岐阜県・三重県から多くの人口を集めています。この表でわかるのは、愛知県に隣接している県でも静岡県(99.8でほぼ昼夜同数)は別の経済圏を持っているということですね。

もう少し複雑なのが、大阪大都市圏です。大阪府は高い昼夜人口比率を持っていますが、京都府も100を超えています。兵庫県は流入している数も多いのですが、流出している数も多いためマイナスになっています。滋賀県・奈良県が大阪近郊のベッドタウンとして機能しているのが、読み取れますね。

改めてみると、昼夜人口比率が99~100%という都道府県が半数近くあるということに驚きます。大都市圏に在住していると他の件から通勤通学するのは普通という感覚に陥りがちですが、全国的にみれば、それはめずらしいことであるということです。

ちなみに、市区町村単位で上位下位をみると

ベスト10 ワースト10
福島県飯館村 7917.1 宮城県七ヶ浜町 68.6
福島県葛尾村 5438.9 大阪府豊能町 69.8
東京都千代田区 1460.6 千葉県栄町 71.1
大阪市中央区 488.4 山梨県西桂町 71.7
東京都中央区 431.1 富山県舟橋村 72.5
東京都港区 386.7 山形県中山町 73.0
名古屋市中区 364.0 石川県内灘町 73.2
大阪市北区 332.4 神奈川県二宮町 73.3
愛知県飛鳥村 318.5 川崎市宮前区 73.4

データを調べる前には想定していなかったのですが、福島第一原発事故の被災地が上位に入ってしまいました。ここには掲載されていませんが、富岡町・大熊町・双葉町・浪江町は常駐人口がおらずデータ集計外になっています。除染作業もしくは廃炉作業で他地域から流入している人口が反映されたデータですね。これは、平成27年の調査なので、避難指示が解除されて次回の調査では少しでも状況が変わるのでしょうか。

昼夜人口比率10位の愛知県飛島村は「とびしまむら」と読みます。村となっているので、農村と思いがちですが、名古屋港に面しており工業都市であると同時に、花卉などの栽培が盛んにおこなわれている地域です。かつては、全国的に見ても貧しい村でしたが現在は全国屈指の豊かな財政の村です。

下位の中で富山県舟橋村は日本の市町村で最も面性が小さい自治体です。富山のベッドタウン化が進んでいる地域で、人口増加率が高く県内一です。西桂町、中山町、内灘町といったあたりは周囲に地域の中心都市があり、交通の便が良い地域が多いですね。


予習シリーズ社会解説 「5年上第16回 関東地方」

地域別地理も後半戦、関東地方です。ところで、予習シリーズを制作している四谷大塚は関東地方の会社です。予習シリーズは全国の中学入試で通用できるようにつくられていますが、どうしても関東地方は地元目線で編集されているのも事実です。予習シリーズ以外のテキストにも当てはまるのですが、関東地方に関する記述は他の地域に比べて少し細かいです。
具体的には武蔵野(火山灰地の土である関東ロームは出題されます)、狭山(埼玉県)の茶、荒川、多摩川、鬼怒川、八木沢ダム、幕張新都心、三番瀬あたりは関東以外ではあまり出題されないですね。

関東地方自体、日本最大の平野である関東平野と流域面積日本一の利根川があるため比較的平坦な土地が広がっています。そのため、覚える地形は少ないです。利根川に関しては水郷地帯・早場米・銚子港といった関連語句があるため合わせて覚えておきましょう。ただ、九十九里浜(千葉県)は砂浜海岸の代表格として登場させやすいので注意が必要です。

関東地方の農業といえば、大都市周辺で行われる近郊農業でしょう。とくに茨城県と千葉県は数多くの野菜でランキング上位に入ってきます。促成栽培で育てるピーマンから、高冷地農業で育てるキャベツまで季節に合わせて野菜づくりが行われるので、特定の品目は意識せず、いろいろな野菜で登場するという認識で十分です。
工芸作物で千葉県のらっかせい、群馬県のこんにゃくいもというのは定番です。ですが、最近の入試でこういう単純知識が好まれるかというと微妙ですね。まぁ、都道府県を特定するキーワードとしては知っておきたいところです。

工業は京浜・京葉・関東内陸の3つの工業地帯・地域が集中しているエリアなので当然入試では出題されます。実のところ、すでに以前の回で学習自体は済んでおり、これらについて新たに覚えることが特にあるわけではありません。千葉県の野田・銚子でしょうゆの生産が盛んというのは触れておきたいですね。
鹿島臨海工業地域は初登場ですね。鹿嶋市と漢字が違うので注意が必要です。ただ、鹿嶋市と神栖市を厳密に区別する必要性はそれほど高くないです(茨城県の学校を受験する人は別です)。

関東地方最大のトピックスは東京が日本の首都であるという当たり前の事実です。予習シリーズでは東京を中心に交通網が整備されている地図が載っています。当然重要な内容ですが大半が、中部地方で話した内容でもあるので生徒の習熟度をみて説明し直すか、簡単に触れるだけかは選びますね。

東京にまつわる人口問題は、今後人口減少がおきる日本において入試にも直結する重要なテーマです。これまでの人の流れを理解させる必要があります。

高度経済成長期:農村部から大都市に人口が流入(過密

~バブル期:都市問題などにより都心部の人口が周辺都市に移る(ドーナツ化現象

現在:都市の再開発で都心部への回帰がみられる

予習シリーズには関東地方の昼夜人口比率が載っています。昼夜人口比率というのはその地域に住んでいる人口を100としたときに昼間の人口がどれだけいるかをあらわしたものです。東京都が120近くあり、周辺の千葉県・埼玉県・神奈川県が90前後になっています。まず、なぜそうなっているのかを記述させる問題は定番です。「周辺の県から東京都に通勤・通学しているから」というのが答えです。
さらに、大事なことはこの数値は異常値だということです。大阪圏・名古屋圏でも似た現象はありますが、大阪府・愛知県でも105前後にとどまります。また、90前後の県は他に奈良県だけです。つまり、この昼夜人口比率が書かれているだけで東京都とその周辺の県について書かれていることが分かるということです。


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