山梨県から静岡県を流れる日本三大急流の1つが富士川です。上流の甲府盆地では扇状地を形成し、ぶどう・ももなどの栽培が盛んです。
河口にある富士市は製紙・パルプ業が盛んです。
読み:ふじかわ
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今回の単元は盆地です。まず、授業では「盆地とは何か」を説明します。予習シリーズには「周りを山々に囲まれ、中央部が平地になっている地形を盆地と言います」とありますが、図で書いたほうがわかりやすいですね。
入試知識としては、
山梨県の甲府盆地…扇状地でぶどう・ももの栽培が盛ん→日本三大急流の富士川が流れる
という一連の関連した知識は定番です。ちなみに、扇状地と三角州は混同しやすいのでこの段階では三角州に触れないほうが無難です。
この回は記述問題の定番が多い回ですね。
問 日本の川の特徴を簡単に答えなさい。
答 短くて流れが急である。
問 盆地でくだものづくりがさかんな理由を説明しなさい。
答 日当たりが良く水はけがよいので、くだものに甘みが出てみずみずしい実ができるため。
4年生で記述問題はそれほど出題されませんが、先々のために答えられるようにしたいところです。
気候については、甲府盆地は山に囲まれており降水量が少ないです。その理由は第14回で学習した讃岐平野と同じであるを触れる必要があります。生徒は違う単元に書かれていることは別々の知識であると誤解しますが、そうすると応用が利かなくなるからです。
内陸部は夏と冬、昼と夜の気温差が大きくなります。ここの説明では例年生徒にとって身近な例を出して説明します。
「夏に地面触ると熱いよね。(間を置く)でも、夏の夜はどう?すぐ冷めてるでしょ。昼間あんなに熱かったのに」
というと、地面が温まりやすく冷めやすいことを理解しやすくなります。
また、水は冷たいものと思いがちです。
「でも、冬に水が凍っていても中の方は水のままだよね。意外と水は一度温まると冷めにくいんだよ」
と言うとまぁまぁ納得しますね。
この回はほかのくだものも触れられているのでテストに備えて覚えておく必要があります。表にまとめるとこんな感じですね。
1位 | 2位 | |
もも | 山梨県 | 福島県 |
ぶどう | 長野県 | |
りんご | 青森県 | |
みかん | 和歌山県 | 愛媛県 |
おうとう | 山形県 |
なお、おうとうの2位は覚える必要はありません。いつも、授業ではみかんとりんごの生産が多そうな都道府県は生徒に聞くようにしています。ここで、青森なり愛媛なり和歌山がでてくるか、でてこないかはその生徒が生活のなかでどれだけ社会的な素養を身につけているかを測ることができるからです。
地方別地理、最大の山場である中部地方の登場です。中部地方は中央に日本アルプス(飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)があり、そこから流れる多くの川があり、それによって形成される盆地・平野が広がっています。これらの地形と産業を重ねて覚えるのが基本になります。
越後平野…信濃川・米の単作地帯・コシヒカリ・暗きょ排水
長野盆地…りんご・ぶどう
野辺山原…高原野菜(レタス)
甲府盆地…ぶどう・もも・扇状地・富士川(三大急流)
牧ノ原…茶
渥美半島…豊川用水・電照菊
濃尾平野…輪中・木曽川・愛知用水・知多半島
と、もりだくさんでこれだけで問題がつくれるレベルですね。
中部地方と言えば、中京工業地帯に代表される工業が盛んな地域でもあります。ここでは航空機産業について触れておきたいです。この地域では、かつて零戦など戦闘機の開発が行われていました。現在、愛知県では初の国産ジェットであるMRJを開発しています。
長野県諏訪湖周辺の精密機械工業も初登場ですね。かつては、製糸業がさかんで多くの製糸工場と桑畑がありました。豊富な水と澄んだ空気が精密機械工業に適しており、諏訪周辺は「東洋のスイス」と評されました。製糸業→精密機械工業→電子工業の移り変わりは日本の工業の変化そのものでもあるので、押さえておきたいポイントです。
中部地方の世界遺産は白川郷・五箇山の合掌造り集落1つということもあり、大きなポイントになりません。ただ、合掌造り集落は岐阜県と富山県にまたがっていることは注意すべきです。どうしても、白川郷に目が行きがちで、五箇山の存在が忘れられがちでそういったところが狙われます。
ややマニアックですが、交通では中央自動車道を触れておきたいです。ポイントはそのルートですね。東京を出て神奈川県をかすめて山梨→長野→岐阜→愛知というルートを通ります。いわゆる旧中山道です。
あと、上越新幹線と関越自動車道は他の高速道路や新幹線と比べると覚えにくいので意識して覚えるさせるようにしたほうがいいですね。