「 筑駒 」一覧

中学入試プレイバック2019 「筑波大学付属駒場中学」

人口重心とはなかなかマニアックなところをついてきました。現在(2015年)の人口重心は岐阜県関市にあります。関市は刃物で有名な街です。上の地図を見てわかるように近年、人口重心は南東に動きつつあります。人口が南東に集まりつつある、つまり関東地方に人口が集中していることが分かります。

今回の問題では、縄文時代の人口中心がどこにあったかを答える問題です。もちろん、受験生の99%が知らない知識ですから、その場で考えて解くことになります。
ポイントは、「木の実を付ける落葉広葉樹林の広がる東日本が、照葉樹林の茂っていた西日本より食料を得ることが容易だった」という一文です。食料が豊富ということは人口が多いということです。つまり、当時の人口中心はやや東寄りだったことが予測できます。それを考えると、答えはオの長野県ということになります。ちなみに、人口中心が長野県にあるということは、関東北部や東北地方に多くの人口がいたことがいえるでしょう。

あらためて見ると、縄文時代を代表する三内丸山遺跡は青森県です。それ以外にも大森貝塚(東京都)縄文時代の遺跡が東日本には多くあります。これが、弥生時代になると唐古遺跡(福岡)、吉野ケ里遺跡(佐賀)など西日本にも遺跡が増えていきます。そして、古墳時代では近畿地方に多くの古墳があり、ヤマト政権の勢力が畿内を中心に広がりました。

時代によって、中心となる場所は変わっていくことが分かりますね。

答:オ


中学入試プレイバック2018 「筑波大学附属駒場中学」


グローバル化が進み、多文化共生が求められる時代になり、中学入試ではイスラム教関連の出題が多くなりました。この問題のポイントは正しいものを2つ選ぶ必要があることです。当然、2つ合っていて正解(完答)なので、正答率は下がります。単純計算だと、5つから1つ選ぶ問題ならば正答率は最低20%ですが、2つ選ぶ問題にすると10%まで下がります。

こういう問題では、正しいものや誤っているものを、まずわかる範囲で答えることです。最初にイを外します。イスラム教の聖地メッカはサウジアラビアです。
そして、エも外したい。実は、この入試問題にはリード文でこのように書かれています。

イスラム教では偶像崇拝が禁じられており、神や預言者の像を描くこと自体を認めていないのです。

この一文に気が付いていたら、アッラーの聖像などというものがあるはずがないと気が付けます。小学生の段階で偶像崇拝を知識として知っているのは難しいので、リード文にヒントを入れるのはうまい方法です。

ウのイスラム教は断食月(ラマダーン)があることは知識として知っておいてほしいです。
これで、ウは正解、残りはアかオです。過去問題を演習している段階なら、ここまでできていればまずOKだと生徒には言うんですよ。確率10%だったものを、知識と判断で50%まで引き上げたわけです。学力をつけるというのは、こういった丁寧な思考の積み重ねです。ただ、入試本番では正解しなければゼロです。なんとか、アかオを絞り込みたい。

イスラム教関連の知識として生徒に教えることの1つに「世界で一番イスラム教信者の多い国はインドネシア」というのがあります。インドネシアは東南アジアの大国で日本からみると石炭の輸入相手国2位ですので、なじみのある国です。この知識があると、オの「特定の民族」という表現がおかしいと気が付けるはずです。中東から東南アジアまでを特定の民族とは言わないですよね。
もしくは、サウジアラビアの国旗に描かれている文字がアラビア語で書かれたコーランの一節という直接的な知識で答えを持ってきてもいいでしょう。授業内で生徒たちでアが誤りと判断した場合、「アラビア語でなければ何語なの?」と確認をして、分からない以上安易に誤りと判断しないほうがいいねと説明します。

答え:ア・ウ


中学入試プレイバック2017 「筑波大学附属駒場中」

問 NIMBY(ニンビー)問題ということばがあります。これはゴミ処分場などの建設が決まった地域で「(必要なのはわかるが)わが家の裏には来ないでくれ」という反応を引き起こす社会問題です。これに関連してのべた文として正しくないものを、つぎのア~オから二つ選び、その記号を書きなさい。

ア 日本では、これまでに原子力発電所や在日米軍基地などの施設が問題になってきた。
イ ごみの処分場建設の場合、自然環境への悪影響や衛生環境の悪化が問題になる。
ウ 施設によって利益を受ける人々と被害を受ける人々が異なる場合、問題は起こりにくい。
エ 大都市圏と、地方、政府と地方自治体の対立に発展している場合がある。
オ 施設の受け入れをめぐって住民投票を行う場合、衆議院議員選挙の投票権をもつ全国の有権者が投票する。
(2017年筑波大学附属中)

意見対立NIMBYとは”Not In My Back Yard”の頭文字をとったことばで、重要な施設であることは誰もが認めるが、自分の生活圏には建ててほしくないと誰もが考えてしまう態度を表します。

これは私見ですが、社会科の入試問題にはその学校の社会(社会科ではなく「社会」です)に対する姿勢が表れると思っています。受験生は当然過去問題を含めて数年分の過去問題を演習するので、その年数分の問題を読むわけです。問題にはリード文といって、問題を紐づけするための文章がついていることが多いです。そのリード文をただ読むだけではなく、そこから何かを感じ学んでほしい。そのことがわかる生徒に自分の学校に来てほしいという問題作成者の想いです。筑波大学附属駒場中(筑駒)の問題は特にそれを強く感じますね。

利益を受ける人と被害を受ける人が同じであれば、その人たちの話し合いで解決できます。しかし、この場合利益を受ける人はその地域だけではなくその周辺に住む人、下手をしたら日本全体という非常に大きな規模になります。対して、その施設で迷惑をこうむるのは地元の人々です。その地域にとってはいい迷惑で叱りません。地元の意見を大切にすることだけ考えてしまうと、いつまでたっても必要な施設を建てることができなくなってしまいます。しかし、だからといって「必要なんだから我慢しろ」というのではいけません。必要なのは「相手の立場に立って考える想像力」なんだと思います。だれもが満足する結論を出すことは難しくても、それに向けて努力することが大切です。

地方公共団体で条例をつくって住民投票を行う場合、投票権を独自に定めることができるのでオは誤りです。過去には市町村合併の住民投票において、中学生に投票権を与えた例があり、過去にもこの知識を聞く問題が出題されたことがあります。難しめの定番質問といえるでしょう。

答 ウ・オ


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