「 記述問題 」一覧

中学入試プレイバック2018 「南山中学女子部」


核軍縮にむけて過去に行われてきたものをざっとあげるだけでもこれだけあります。

1963年部分的核実験停止条約
大気圏・水中・宇宙空間での核実験を禁止する条約。(停止の部分は禁止と書かれているものもありますが、今回は学校教科書の表記に合わせました)

1968年核拡散防止条約(NPT)
核保有国が核兵器を持たない国に核兵器やその技術を提供することを禁じた条約。また、核兵器を保有していない国が核実験をすることを禁じた。

1987年米ソ中距離核戦力(INF)全廃条約
1991年米ソ戦略兵器削減条約(START)
アメリカとソ連の間で結ばれた核削減に関する条約。

1996年包括的核実験禁止条約(CTBT)
全ての爆発を伴う核実験を禁止する条約。

受験生にとっては、きちんと区別をして覚えるのがなかなかしんどい用語が並んでいます。そこに、2017年に核兵器の廃絶を求める核兵器禁止条約がさらに加わったわけです。

核兵器禁止条約を推進した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞したこともあって、今年の入試の一大トピックであることは間違いありません。ただ、現状ではCTBTでさえアメリカなどの核保有国が参加しておらず未発効なんですよね。核廃絶にむけて人類が努力することはとても意義のあることですが、核兵器禁止条約もこのまま棚ざらしになって受験的には何年後には影の薄い存在になっていそうな気がします。

さて、今回取り上げた問題の答えですが、悪意のある答えを用意すると「同盟国で核兵器を保有しているアメリカに配慮したから」になります。
しかし、日本はCTBTには参加しており、全てにおいてアメリカの機嫌をうかがってこともを進めているわけではありません。「北朝鮮が核開発を進めており、日本を守るためにはアメリカの核戦力が必要で、アメリカとの関係を重視したから」といった答えぐらいが妥当でしょうか。

別に日本政府が核廃絶に熱心ではない訳ではないんですよね。核保有国が参加していない状態で、核廃絶だけを求めるのは核保有国と非保有国の対立を深めるだけという意見もあります。
下に答えを書きましたが、実際のところ解答のパターンはいくつかありそうで、後日発売される過去問題集ごとに違う答えが出てきそうな問題です。

答:核廃絶を訴えるだけでは、核兵器を保有している国の核兵器をなくすことは難しく保有国と強調して取り組む必要があると考えているから。


中学入試プレイバック2018 「渋谷教育学園幕張中学その2」

渋谷教育学園幕張中の問題でやっぱりもう一問紹介したくなりました。


A版・B版というのは紙のサイズですね。A版はもともとドイツの規格でA4が一般的によく使われます。B版は美濃紙をもとにつくられた日本国内の規格です。A3→A4と数字が1つ大きくなると面積が半分になります。つまり、A3を半分折りするとA4です。
現在、国際的な規格はA版が使われています。ただ、塾業界ではB版の根強い人気があり、テストの問題用紙などにB4がよく使われています。問題を冊子にして配付するときはA3を2つ折りにして問題を作りますが、そうではないときはB4の出番が多いです。縦長にして使う場合もありますし、横長にして2段組にすることもあります。テストでは、複数の問題用紙を行ったり来たりするのはあまり好まれません。そのため、割合大きいサイズであるB4が好まれます。ちなみに、A3だと大きすぎるんです。

ここで声を大にして言いたいことがあります。それは「学校の定期テストは書式を学校ごとでいいから統一してくれ」ということです。塾では、学校の定期テストをコピー(もしくはデータ)保存して、先々の指導に役立てています。昔は、過去問を生徒にコピーしてやらせたものですが、現在では著作権のこともありほとんど行われていません。
コピーの時に苦労するのが、科目ごとに用紙のサイズがバラバラだということです。数学はB4、社会はA3を半分折り、英語はA4だったりすることはざらにあります。そうするとデータを取るときにサイズを調整するのがとても面倒くさいんです。生徒は生徒でテストをファイリングするときにサイズがバラバラなので、すぐにぐちゃぐちゃになってしまいます。科目によって紙質が違うこともあり、学校も印刷するときに手間じゃないかなと思っています。学校の先生の長時間労働が問題になっていますが、仕事の効率化が図れていないんだろうなというのをこういったところから感じてしまいます。

答 文書の保存や整理が便利である。


中学入試プレイバック2018 「渋谷教育学園幕張中学」

良問が多くて、どれを取りあげようか迷った渋谷教育学園幕張中の2018年入試問題です。


以前、参勤交代の狙いは大名の財政悪化ではなかった話を取りあげました。この問題がよく作られているのは、引用文に基づいて答えを書かせることで史料を読み解く力を確かめながら、新しい学説を問題に使っているところです。

実のところ中学校の教科書でも

大名の参勤(江戸に来ること)は主従関係の確認という意味があり、第3代将軍徳川家光は、参勤交代を制度として定めました。(新編新しい社会歴史 東京書籍)

と参勤交代の目的をきちんと書いています。教科書できちんと書かれていることを定期テストや入試問題で踏まえない例がある中、さすが渋幕と感じさせる問題です。文書のサイズをA版に統一するメリットを問う問題など、初見問題に対する思考力を問う問題が満載で、社会科教師は一度見ておくべきですね。

答 (引用文では)参勤交代にかかる費用を減らすようにとあり、参勤交代の目的が大名の財政を圧迫することならそのような指示する必要はないから。


入試に出る歴史上の人物 「ペリー」

基本
ペリー1853年、浦賀(神奈川県)に来航し、日本に開国を求めたアメリカの軍人がペリーです。翌年の1854年に日米和親条約を結び、下田(静岡県)・函館(北海道)の2港を開港しました。1639年のポルトガル船の来航禁止から続いたいわゆる「鎖国」政策がで終了しました。

重要
ペリーの来航に慌てふためく幕府を皮肉った狂歌
「泰平の眠りをさます上喜撰 たった四はいで夜も眠れず」
が史料問題で大変よく出題されます。

応用
アメリカが日本に開国を求めた理由を問う問題は記述の定番です。中国との貿易船や太平洋で活動する捕鯨船が寄港できる港を確保する目的がありました。

発展
日米和親条約ののちに同様の条約をロシア・イギリス・オランダとも結んでいます。

ちなみに、ペリー来航といえば「黒船」とよく評されます。黒船と聞くと蒸気船を思い浮かべる人もいると思いますが、日本に来航した4隻のうち蒸気船は2隻で、その2隻も蒸気と帆走を併用した船です。ペリー来航の様子を描いた絵は教科書に必ず掲載されていて、実は帆走する船だったことを図版史料から読み取らせる問題も出題されます。

時代:江戸時代末期(19世紀半ば)


中学入試プレイバック2017 「武蔵中」

問 関東地方では千葉県市川市の東京湾沿いに、徳川氏が重要視して保護した行徳(ぎょうとく)塩田がありました。ここで取れる塩は「行徳塩」として江戸のほか、関東・東北地方にも供給されました。行徳塩田が徳川氏に保護されたのはなぜですか。(2017年武蔵中・出題形式は修正)

塩武蔵中は、記述形式で解答する問題が大半を占める、その学校専用の対策が必要な学校の1つです。武蔵に限らず、入試問題で記述の演習をするときに気を付けなければならないこととして挙げられるのが「模範解答=学校が提示した解答」ではないということです。模範解答はあくまで塾側が問題を分析して独自に出した答えにすぎません。その通り書けば必ず正解するとは限りませんし(もっとも誤った答えであることはほとんどありませんが)、逆にその通り書かれていなくても点数がもらえることは十分あり得ます。模範解答はどうしても「大人がほかの大人が見てもおかしくないようにきれいに整えた解答」になりがちで、自由記述であればあるほど子どもがその通りに書けるものではありません。

今回の問題でこちらが出した答えは、ネットで見つけることができる答えとやや別のものになりました。インターエデュの答えは「行徳塩田は、人口の多い江戸のほか、関東・東北地方の広い領域に塩を供給する製塩の拠点であったから」となっているのですが、個人的には製塩の拠点だったから保護したと答えるよりも、なぜ製塩を保護する必要があったかを答える必要があると思ったので、このような解答になりました。

ちなみに、東京湾の東側は西側に比べてやや降水量が少なく日照時間もやや長めです。塩田がこの地域にできた環境的要素はこのあたりにあると思われます。ちなみに、行徳塩田があった場所に今ある施設が東京ディズニーリゾートです。雨が少ない立地が好まれたという説もあります。

問 塩は戦に欠かせないものであり、戦争への備えとして重要視されたから。


中学入試プレイバック2017 「渋谷教育学園渋谷中」

問 JICA(国際協力機構)は、海外の山岳地帯や離島など物資を運ぶことが困難で、発電や送電もできない地域に向けて、LEDと太陽光発電を組み合わせた照明器具を取り付け、明かりを灯す支援を行っています。なぜこのような地域で、発熱電球でなくLEDが利用されているのか、その利点を2つあげなさい。(2017年渋谷教育学園渋谷中・下線部はこちらで引きました)

渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)の登場です。渋渋は豊富な資料を使って、その資料から答えを導くのが基本的なスタイルです。今回紹介した問題はその中でも紹介しやすい問題を選んでみました。
この問題を出題上のポイントは問題に引いておいた下線部です。この下線部があることで問題の難易度を下げつつ、文章から思考することで答えを導き出しやすくしており、暗記問題化を防いでいます。

もし、この問題がこのようになっていたら、どうでしょうか。

問 JICA(国際協力機構)は、海外の山岳地帯や離島などで、LEDと太陽光発電を組み合わせた照明器具を取り付け、明かりを灯す支援を行っています。なぜこのような地域で、発熱電球でなくLEDが利用されているのか、その利点を2つあげなさい。

この文章だと、LEDの利点を自力で思い出さなくては答えが出てきません。つまり、LEDについて暗記したことを思い出す必要があります。それが、下線部があることで物資を運ぶことが困難→取り換えが大変→LEDは長時間使えるはずだから交換の負担が減る、という考え方ができるようになっています。また、発電や送電もできない→電気が貴重→LEDは省エネのはず→電力の負担が小さい、と答えを導き出せたら正解が出てくるわけです。

良い問題は文章・資料の中にヒントを入れ、そこからその場で考えて答えを出させるように問題をつくっている好例といえるでしょう。

答 長期間使えるため交換の負担が少ない。
少ない電力で明かりをつけることができるため省エネになる。


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